中性子感度を向上させるための研究開発を継続して行った。前年度の作成したボロンを付加した多孔コンバーターを配置したチェンバーを製作してビームテストを行った。その結果、これまで使用してきたボロンを付加したGEMを用いたチェンバーと同程度の性能を得ることが可能であることが確かめられた。これによって、放電による破壊がなく、しかも、安価に高検出率のチェンバーの製作への道を開くことができた。しかし、問題点も見出された。シミュレーションでは、少なくとも4枚程度までは積層しても検出効率の改善が期待できるのであるが、実験では3枚以上で改善が見られない結果となった。この問題を解決するために、孔径を改善したものを製作した。簡単なテストでは、よい結果得られそうであるところまでは確かめられたが、ビームテストは今後の課題として残った。2つ目の問題は、1個の信号が時間的に長くなってしまって、時には2つの別々の信号としてとらえられることがおこることが分かった。これは、多孔コンバーター間にかけられている電場が弱すぎることによって発生する問題であるとわかった。検出効率の観点からは弱い方がよいので、それとの兼ね合いでよい解を見つけていかないといけない。1つ目の問題と合わせて最適なパラメーターをビームテストで検証しなければならない。
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