研究課題/領域番号 |
24340063
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
戸田 泰則 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00313106)
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研究分担者 |
小田 研 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (70204211)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高温超伝導体 / ポンププローブ分光 / 光誘起超伝導相転移 / 擬ギャップ / 銅酸化物 / フェムト秒光パルス / 光誘起相分離 / 電子格子相互作用 |
研究概要 |
本研究ではビスマス系高温超伝導体(Bi2212)の光誘起超伝導相転移ダイナミクスから擬ギャップ(PG)準粒子と超伝導(SC)準粒子の関係性を明らかにすることを目的としている。 今年度は(A)PGおよびSCに起因する準粒子ダイナミクスの系統的調査、および(B)SC飽和励起を用いた光誘起相転移(PISC)ダイナミクス観測を行った。 項目Aではホール濃度の異なる3つの試料に対して選択的ポンププローブ分光をもとにした解析を行った。 準粒子ダイナミクスの温度依存性は、磁化率測定およびトンネル分光で見積もられたホール濃度を反映した特性を示し、ポンプ強度依存性から従来確立したPISCモデル解析の妥当性を確認することができた。また従来研究ではアンダードープ(UD)試料のみの解析であったが、オーバードープ(OD)試料(p=0.21)に対してPG準粒子ダイナミクスを観測し、SC準粒子との相関ダイナミクスを明らかにできた。次年度以降、さらにドープ範囲を拡大した試料に対して調査を行い、PGとSCの系統的な関係性を明らかにする。 項目BではSC飽和励起準粒子の時空間ダイナミクス観測に向けた励起強度、偏光、繰り返し周波数の最適化(新規購入のキャビティダンパーを利用)を図り、高感度検出を実現できた。特にSN低下の原因となった表面氷結をクライオスタットチャンバー交換により改善できたため、長時間にわたる測定で安定な測定が可能になった。SC飽和励起下で発現する過渡常伝導相準粒子の時空間ダイナミクス解析へと展開していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
装置の改良により長時間測定が安定化され、系統的なデータが取得できるようになった。また高感度なダイナミクス変化を検出する条件を見出し、今後の測定基盤が整備できた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度見出した高感度測定にもとづき、ドープの異なる試料を用いた系統的調査と光誘起相転移の時空間ダイナミクス検出を実現する。
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次年度の研究費の使用計画 |
擬ギャップ(PG)と超伝導(SC)準粒子の関係性を明らかにするため、特性を大きく変化させた試料に対して系統的調査を実施するとともにSC飽和準粒子に対する時空間ダイナミクス検出を実現する。繰り越しとなった直接経費は年度を跨ぐ国際会議の旅費および関連経費に充てられる。
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