研究課題/領域番号 |
24340065
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
町田 友樹 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (00376633)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 物性実験 / スピンエレクトロニクス / 半導体物性 / 量子ドット / 低温物性 |
研究概要 |
ゲート付きAIGaAs/GaAs二次元電子系ホールバー型素子を作製し、偶数量子ホール状態における動的核スピン偏極をpump&probe検出法により検出した。偶数ランダウ準位充填率の量子ホール状態においてはブレークダウンに伴う電流-電圧曲線のヒステリシスが観測されないため動的核スピン偏極が生じないと一般に理解されていたが、偶数量子ホール状態においても量子ホール効果ブレークダウンに起因する動的核スピン偏極が生じることを示す実験結果である。AIGaAs/GaAs二次元電子系コルビノ型素子においても同様の実験を行った。また、量子ホール遷移状態における動的核スピン偏極のメカニズムを調べるためにいて、縦抵抗測定を用いた動的核スピン偏極検出と非局所抵抗測定を用いた動的核スピン偏極検出を組み合わせることで、量子ホール遷移状態における動的核スピン偏極のメカニズムを調べた。整数量子ホール状態間の遷移領域においても電流の印加により核スピン偏極が生じるが、その偏極極性は複雑な振る舞いを示しメカニズムが未解明であった。特に量子ホール端状態とバルク状態の寄与が不明であった。バルク領域における電子励起に起因する動的核スピン偏極効果と量子ホール端状態-バルク状態間散乱に起因する動的核スピン偏極効果の2つの効果が共存していることを示している。さらに、AlGaAs/GaAs2次元電子系から作製した量子ポイントコンタクトの電気伝導特性で近藤共鳴ピークが磁場で分裂した状態において、電気伝導測定により、動的核スピン偏極の効果を検出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
偶数量子ホール状態における動的核スピン偏極、量子ホール遷移領域における動的核スピン偏極、近藤共鳴状態における動的核スピン偏極の効果を実験的に検出することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
フロントゲートの有無、ホールバー型素子とコルビノ型素子との比較などを系統的に調べる計画である。
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