研究課題
スピン1/2一次元ハイゼンベルグ反強磁性体CuPzNについて、単結晶試料の極低温磁化測定を、これまでの80mKからさらに低温の40mKにまで測定することに成功した。これにより、80mKでの測定で観測された磁化飽和点近傍での磁化曲線の「なまり」が鎖間相互作用によるものではなく有限温度効果によるものであることを検証した。3重項超伝導体として期待の大きいSr2RuO4について磁場がc面内方向近傍での磁化トルク測定を行い、擬2次元超伝導体の理論との比較を行った。その結果、本質的な超伝導異方性は100mKの低温領域でも約60程度と大きいことが確定的となった。これは、c面内方向の上部臨界磁場の軌道極限がおよそ4.5Tであることを意味し、実際の上部臨界磁場が何らかの機構で1/3に低く抑えられていることになる。この結果を3重項超伝導で説明することは困難である。新規スピンラダー有機磁性体α-2-Cl-4-F-Vは、分子軌道計算からS = 1/2スピン間の最近接が強磁性、次近接が反強磁性型のJ1J2鎖と呼ばれる相互作用モデルが主要な構成要素であると予想される。さらにJ1J2鎖間にもフラストレートした相互作用が存在している。したがって、その相互作用の効果が磁性に対してどのような影響を与えるかを研究する上で重要な物質である。低温磁化測定を行った結果、磁化曲線からは約4.5Tで飽和する1次元反強磁性的であることがわかったが、磁化の温度依存性にフラストレーションの効果によると思われる異常が観測された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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