研究課題
研究実施計画に沿って研究を進め、以下の研究成果を得た。(1) 電荷・スピン結合系において、自発的な対称性がもたらす電子状態のトポロジーの変化を調べた。具体的には、三角格子上の古典スピン近藤格子模型において、自発的にカゴメ格子状のネットワークを自己形成する相を見出し、この相では電子状態に線形なディラック分散が現れることを明らかにした。さらに電子相関の効果によって、電荷の分数化が現れる可能性を論じた。(2) スピン軌道相互作用が強い系における局所的な格子構造の非対称性による効果を調べた。具体的には、ジグザグ格子上の拡張近藤格子模型において、奇の多極子を伴う反強磁性相の安定性と、非対称なバンド変形や電流磁気効果の詳細を明らかにした。(3) 二重交換模型において、強結合極限からの摂動展開法を開発した。それを用いて、パイロクロア格子状のスピンアイス型二重交換模型に対する有効スピン模型を導出し、その基底状態について、摂動論の有効性を示した。(4) スピネル酸化物AlV2O4とLiV2O4が示す特異な物性を理解する目的で、第一原理計算と拡張乱雑位相近似を組み合わせた手法を用いて、電荷・スピン・軌道の揺らぎを調べた。その結果、前者ではボンド上の電荷・軌道揺らぎが、後者ではスピン揺らぎが発達する様子を明らかにし、実験結果との対応を論じた。以上の結果を、積極的に国際会議や学会等で成果発表を行った。とりわけ、イギリスのケンブリッジで行われたAdvanced Working Group on Itinerant Frustration 2015 (AWGIF 2015)において基調講演(overview talk)を行い、本研究課題の成果を広く国際的に発信した。また、2016年8月にはアメリカのアルバカーキで開催されるQuantum Criticality and Topology in Itinerant Electron Systemsにおいても、本研究課題の成果を招待講演として発信する予定である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 備考 (3件)
Nature Communications
巻: 7 ページ: 10807/1-6
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms10807
Physical Review B
巻: 92 ページ: 195150/1-7
http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevB.92.195150
巻: 92 ページ: 024415/1-7
http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevB.92.024415
Journal of the Physical Society of Japan
巻: 84 ページ: 064717/1-10
http://dx.doi.org/10.7566/JPSJ.84.064717
巻: 91 ページ: 155132/1-10
http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevB.91.155132
SPIN
巻: 5 ページ: 1540004/1-8
http://dx.doi.org/10.1142/S2010324715400044
http://www.motome-lab.t.u-tokyo.ac.jp/topic.html
http://www.motome-lab.t.u-tokyo.ac.jp/publication.html
http://www.motome-lab.t.u-tokyo.ac.jp/talk.html