研究課題/領域番号 |
24340077
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
益田 隆嗣 東京大学, 物性研究所, 准教授 (90313014)
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研究分担者 |
左右田 稔 東京大学, 物性研究所, 助教 (40463905)
萩原 雅人 東京大学, 物性研究所, 研究員 (90608332)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 偏極中性子 / 中性子散乱 / フラストレート系 / マルチフェロイクス / スピン・ダイナミクス / エレクトロマグノン |
研究概要 |
二点相関関数を直接プローブする中性子散乱は、物質の構造決定とミクロなダイナミクスの測定を得意としており、スピン液体やマルチフェロイクスなど新規量子状態のスピン相関と素励起の観測に大きな威力を発揮してきた。これまでのダイナミクス測定は、非偏極中性子スピンによる実験が主流であったが、偏極中性子を用いると、磁気励起とフォノン励起の分離、磁気・格子ハイブリッド励起の観測、スピン縦揺らぎと横揺らぎの分離などが可能となり、情報量は格段に増える。そこで本研究課題では、既存の偏極弾性中性子散乱分光器(原子力機構JRR-3設置PONTA分光器)に改良を加え、偏極中性子非弾性散乱装置を開発し、これまでとは質の異なるデータ収集を可能とし、新規量子状態の本質に迫ることを目的とした。当初(1 1 1)Cu2MnAlホイスラー結晶を用いたモノクロメータと水平・垂直両方向に回転可能な機構を構築することにより、任意のエネルギーの中性子ビームを水平・垂直両方向に集光可能な偏極システムを想定していた。しかし、ホイスラー結晶の供給源が1社に限定されており、かつ想定外の納期が必要であったために、スーパーミラーによる偏極に方式の変更を行った。このため、24年度は偏極システムの設計を行い、システム実装は25年度に行うことにした。24年度は、LiCuVO4等のフラストレート系や、Ba2CoGe2O7等のエレクトロマグノンが予想される磁性体、酸素磁性体などの試料合成・評価・基礎磁性測定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた中性子偏極子であるホイスラー結晶の納期が3年以上と、非常に長かったために、偏極方式の変更を行う必要があったため。
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今後の研究の推進方策 |
中性子偏極子スーパーミラーの設計・作製を行い、偏極システムを構築すると同時に、偏極中性子実験を行うために必要な試料作製・基礎物性測定に必要なシステムの構築を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究用原子炉JRR3が東日本大震災以降停止しており、中性子偏極子の機種選定に必要な予備実験等を行うことが困難であった。原子炉が稼働次第、予備実験・機種選定等を行うつもりでいたが、未だ稼働停止の状況である。海外中性子施設での予備実験や実験室系での試料作製、測定系整備等を行うことにより、偏極素子の設計を完了させることに計画変更することとした。 中性子散乱実験用試料評価のためのバルク測定系構築のために研究費を使用する。
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