フタロシアニン分子系伝導体で観測される巨大磁気抵抗効果の機構解明が本研究の目的である。X線吸収スペクトルが分子(π軌道)の電子数に敏感であるエネルギー領域を見出した。そして、電荷秩序の検出を目指して共鳴X線回折を試みた。また、伝導性π電子と局在性d電子の分子内相互作用が500K以上の強力な強磁性的相互作用である事を明らかにした。これより、局在スピンの磁気秩序が伝導電子の電荷秩序の安定性を制御している事が分かった。局在スピン濃度を調整して、希薄なスピン濃度領域で巨大磁気抵抗を観測した。これは、従来のマンガン酸化物モデルでは説明できず、新しい電子状態が生じている事を指摘した。
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