研究概要 |
本課題のメインテーマであるUCoAlの圧力下NMR測定を行った.UCoAlは常磁性-強磁性のメタ磁性転移を示す物質であるが,約1.5GPaの圧力,約7Tの磁場印加によって1次のメタ磁性転移が絶対零度で終結する量子臨界終点をもつ.NMRのスペクトル,核スピン格子緩和率1/T_1,核スピン-スピン緩和率1/T_2を系統的に圧力変化を調べた結果,量子臨界終点近傍においてIsing的な縦揺らぎが増強されることを明らかにした.また,1次のメタ磁性転移がクロスオーバーに変化した圧力域でも縦揺らぎが強く残っていることを示唆する結果を得た. また,CeIr_3B_2はキュリー温度41Kの強磁性体であるが,その自発磁化は0.05μ_B/Ceと非常に小さいことから注目されている物質であるが,圧力下の電気抵抗測定から約3.5GPaにおいて強磁性相が消失することを明らかにした.また,NMR測定からab面内の磁気揺らぎが強い2次元的な異方性を持つ物質であることも分かった. さらに強磁性体CeRuPOの圧力下電気抵抗測定を行った.CeRuPOはRuサイトをFeで置換することによって強磁性の量子臨界点を示す物質と報告されているが,圧力印加では恐らく反強磁性と思われる別の相に移り変わるごとが分かった.この2つ目の相は約2.7GPaの圧力下で消失し,その付近で磁場を印加することで常磁性一強磁性のメタ磁性転移を出現することを発見した.Ceの4f電子は局在性が強いため,UCoAlなどの遍歴強磁性体のメタ磁性転移との比較が興味深く,今後NMR測定を用いて微視的に調べていく予定である.
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今後の研究の推進方策 |
UCoAlの圧力下N憾測定を進めると共に,Celr_3B_2,CeRuPOO圧力下NIVIR測定,さらにUGe_2,URhGeのNMR測定を行う。
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