研究課題/領域番号 |
24340093
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
長屋 智之 大分大学, 工学部, 教授 (00228058)
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研究分担者 |
折原 宏 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30177307)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 物性基礎 / 確率共鳴 / パターン形成 |
研究概要 |
確率共鳴を引き起こすためには,フィードバック光もしくは印加電圧にノイズを重畳する必要がある。まず,フィードバック光に光ノイズを重畳することを試みた。光ノイズをフィードバック光に重畳できるように,ポッケルス効果素子をフィードバック光回路に付け加えた。この素子に掛かる電圧はデジタルシンセサイザーとLabVIEWで作成した。これらのノイズ付加装置を実験装置に組み込んで確率共鳴の発現を試みたが,典型的な確率共鳴現象を観測することができなかった。そこで,本実験系に相当するモデルを用いて確率共鳴の実験条件の推定を試みた。実験で用いる液晶光バルブの基本特性から双安定領域を計算し,その領域で光ノイズを与えたときの常光と異常光の位相差の時間変化を解析したところ,位相差の双安定型ポテンシャルの極小値の形が十分な深さとポテンシャルバリアーを持たないために,双安定型の確率共鳴が発現しにくいことがわかった。現在は,印加電圧に電気ノイズを加えて確率共鳴が起きるかをモデルを使って検討している。実験において印加電圧にノイズを重畳する際には,1Hz程度の正弦波とガウスノイズを重ね合わせ,この合成信号でもって液晶光バルブの1kHzの正弦波の振幅をAM変調する必要がある。このAM変調のための電子回路を作成した。また,デジタルシンセサイザーで合成信号を発生させるソフトウェアをLabVIEWで作成し,印加電圧で確率共鳴を引き起こす実験の準備を行った。 フォトリフラクティブ型液晶光バルブを作製するために,透明電極をガラス上に形成するRFスパッタ装置を前年度に購入したが,透明電極膜の厚さに不均一が生じる問題があった。これを改善するために磁性流体を使った回転機構を作製し,スパッタに取り付けた。 本研究を社会還元する目的のため,ひらめき☆ときめきサイエンスの活動として,「液晶科学への誘い」を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
目的のひとつである確率共鳴現象を実験的に確認していないため。また,現時点では,フォトリフラクティブ型液晶光バルブの製作技術が十分高くないため。
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今後の研究の推進方策 |
光雑音による確率共鳴の発現条件を模索することは引き続き行うが、これが困難な場合は電気雑音による確率共鳴の発現を試みる。また、花弁パターンの周期的な振動を外部の周期的な光に同期させることを試みる。この為の実験装置の構築を行う。また,フォトリフラクティブ型液晶光バルブの製作技術の向上に努め,この系での確率共鳴の観測を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
助成金に余剰が生じたのは,購入計画のレーザーと同等な性能&信頼性をもちかつ安価なものを購入したためである。 この余剰金は,次年度の研究において実験で使用する光学部品の購入代金にあてる。
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