研究課題
1、前年度に導入発展させた可積分部分を最大繰り込んだ摂動理論(繰り込み摂動論)をその成果を2編の論文として出版した。この理論の骨子は高次可積分系基底の遷移行列要素に見られる異常にある。それを解明するべく実半古典論、複素半古典論の研究が開始された。一方この理論に導かれて、可積分基底の波束動力学過程によって正しい非可積分的トンネル効果が動的に再現されるという新奇な現象を発見し、速報にまとめた。繰り込み摂動全体を総括する論文も執筆中である。2、量子カオス研究の重要な課題の一つが非可逆過程の研究である。その一例が昨年度から継続中の拡散現象の研究である。我々が提案した不規則量子系の写像モデルによって不規則系の動的局在拡散転移の臨界現象としての諸性質が量子カオス系のそれらと比較しつつ総合的に解明されつつある。臨界値の動的自由度依存性の異常敏感性、臨界指数が従来の平均場理論の結果で説明できない事等がはっきりしてきた。成果を総括する論文執筆に着手した。系の非可逆性を観察する方法としてfidelityが知られているが、もっと直接に非可逆性を拡散としてmapし定量化する新しい一般的方法が提案され、系が生成する「時間の矢の寿命」として研究が進展しつつある。3、FermiPastaUlam問題に関し多自由度系の古典不安定性を研究してきた。Lie摂動論を用いて非共鳴的な摂動項を消去することで、周期解と共鳴的にカップルするモードからなる有効ハミルトニアンに縮約し、この有効ハミルトニアンの分析により、周期解を励起することによって、カスケード的に多数のモードが誘起されることが明らかになった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (18件) (うち招待講演 6件)
Phys. Rev.
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