研究課題/領域番号 |
24340095
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
中川 賢一 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 教授 (90217670)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 量子もつれ / リドベルグ原子 / レーザー冷却 / 光格子 / 量子コンピューター |
研究概要 |
本研究では、レーザー冷却ルビジウム(Rb)原子を微小な光双極子トラップおよび1次元のアレー状の光格子ポテンシャルにトラップし、これらの原子をレーザーを用いてリドベルグ状態と呼ばれる主量子数が数10以上の高い励起状態に励起することにより空間的に離れた複数の原子間に量子エンタングルメントを実現して量子コンピューターや量子シミュレーションなどの量子情報処理に応用することを目的としたものである。この実現のため、個々の原子を独立に観測および制御が可能な格子間隔が3μm以上の1次元光格子ポテンシャルを実現し、各ポテンシャルサイトに原子を高い効率で1個ずつトラップする方法を開発することが研究目標の一である。本年度(H24)は、既存の単一原子トラップ用の実験系を用いて磁気光学トラップによって1個から数個のレーザー冷却Rb原子を集め、これを微小な光双極子トラップおよび格子間隔が0.5μmの光格子トラップに移行することを確認した。その後、原子観測用のCCDカメラの交換に伴い、光双極子トラップ用レーザーの交換および格子間隔が広い光格子ポテンシャルの実現のための新しい光学系の準備を行った。一方、Rb原子を二光子吸収を用いてこれをリドベルグ状態に励起するため、既存の半導体レーザーを基にした波長780nmおよび480nmの周波数安定化レーザーの整備および開発を行った。また得られた2台のレーザー光源を用いてRb吸収セルによる二光子吸収分光を行い、n=75のリドベルグ状態への吸収スペクトルを確認し、レーザー光源の周波数安定度の評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験の準備を進めている中、トラップ中の単一原子の蛍光像を観測するのに用いていた既存のEMCCDカメラが突然故障し、代替機種を新たに購入する必要が生じた。これに伴い、納品までの間、光双極子トラップおよび1次元光格子による原子のトラップの実験が中断してしまった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(H25)より単一原子トラップに関して多くの研究実績がある海外からのボスドク研究員が本研究に参加する予定で、これによって多少遅れ気味だった本研究の進行が大きく進展することが期待される。また大学院修士の学生も新たにこの研究に加わる予定で、リドベルグ状態励起用の周波数安定化レーザーの開発が進展すると期待される。
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次年度の研究費の使用計画 |
EMCCDカメラの故障による代替カメラの購入により、当初購入を予定していた空間位相変調器の購入を中止したため次年度に助成金の繰越分が生じた。このため当初の研究計画を多少変更し、空間位相変調器を用いず、別の光学系でこれを実現する方法を検討しており、これに必要な光学部品等の購入に充てる予定である。
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