研究課題
コンドリュールとは,大きさが0.1mmから1mm程度でシリケイト組成の球形構造で,コンドライト隕石の主要構成要素である。これらは原始太陽系星雲中の固体微粒子が加熱を受けて溶融し形成されたと考えられているが,形成過程については未解明の点が多い。本研究の目標は,コンドリュールの成因に迫るために,コンドリュールの3次元形状と組成および組織の間の関係を明らかにすることである。原始太陽系星雲中でコンドリュールを形成するにいたる加熱機構としていくつか提案されているが,衝撃波加熱モデルは有力な説の一つである。このモデルによれば,溶融中のコンドリュールは一定の方向から高いガス動圧を受ける。すると,溶融しているコンドリュールは動圧に応じて形状が球からずれることが期待される。こうした球からのずれが実際のコンドリュールに見られるかどうかを確かめることが,本研究の目標である。本研究では,Allende隕石内のコンドリュールを測定の対象とした。隕石片を破壊し,コンドリュールを取り出して外形形状を測定すると共に,内部の組織を観察した。100個弱のコンドリュールを測定し,内部構造をもとに全溶融していたと推定されるコンドリュールが,15個得られた。これらの大きさと変形度の関係を,理論から予測される関係と比較すると,両者は調和的であることがわかった。すなわち,これらのコンドリュールは溶融時にガス動圧を受けていたことが示唆された。これは,コンドリュールの成因解明にとってたいへん大きな示唆である。ただし,現在の試料数は15個とやや少ない。より信頼性の高い結論を得るには,今後,測定試料数をさらに増やすことが望ましいだろう。また,本研究は従来の研究とは全く異なる視点でその成因に迫ろうというものであるが,こうした視点が有効であることが示された点も意義深いと言えよう。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Astrophysical Journal
巻: 794 ページ: -
10.1088/2041-8205/794/1/L7
巻: 801 ページ: -
10.1088/0004-637X/801/2/144
巻: 789 ページ: -
10.1088/0004-637X/789/2/122
巻: 783 ページ: -
10.1088/0004-637X/783/1/54