ヒマラヤ域での降水システムの傾向の一般性を調べるため、ヒマラヤ域と同様の解析をインド亜大陸西岸、ミャンマー西岸、またアンデス山脈中央部で行った。これは以前に行っていた結果の確認である。熱帯降雨観測衛星(Tropical Rainfall Measurement: TRMM)の13年間にわたる降水観測データを利用した。それぞれの領域で地形の影響は明瞭に見られたが、ミャンマー西岸ではより広くかつ背の高い降水システムが認められた。大気下層の水蒸気供給による大気の湿潤度の差異によることが原因と推測された。この結果を論文化した。 衛星データは降水推定アルゴリズムが改訂されており、最新のデータセットによる再解析を行うため、解析システムの再構築を行った。2014年2月末に日米協力による全球の降水観測を目標とした新たな衛星(GPM主衛星)が打ちあがった。この衛星には我が国が開発した2周波数のレーダが搭載されているとともに、高緯度域のデータが入ってくる。レーダによるデータの一部のアーカイブを行った。またこのデータの評価を行うため初期解析を行った。 このような解析を行うため、画像化ソフトウェアを制作してきていた。このソフトウェアは個人用として個人の趣味に合致するようにつくられている。このソフトウェアの開発を論文化した。 研究代表者一人による研究計画であった。データまたソフトウェアの整備、陸上山岳域の降雨の特性と海上の降雨との差異の調査、等を行い論文化もできたが、所期の目的である適当な指標によるクラス分けとそれによる降水特性の研究までには至らず、今後の調査となった。
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