研究課題/領域番号 |
24340111
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
甲斐 憲次 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50214242)
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研究分担者 |
星野 仏方 酪農学園大学, 農学生命科学部, 教授 (80438366)
竹見 哲也 京都大学, 防災研究所, 准教授 (10314361)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 黄砂 / サハラダスト / ダストの光学特性 / 放射強制力 / ダスト発生のモデル化 / ダストフラックス |
研究概要 |
本研究の目的は、黄砂とサハラダストに関する現地観測-衛星リモートセンシング-モデリングの研究成果を融合し、ダストフラックスの推定および放射強制力などの気候影響について比較研究を行うことである。本研究の柱である、中国西域と北アフリカの現地観測は、政治情勢の悪化により、変更を余儀なくされ、観測代替地としてモンゴル・ゴビ砂漠を選定した。黄砂とサハラダストの比較研究のため、衛星搭載ライダーCALIPSO・雲レーダーCloudSat・ECMWF再解析の結合データの解析を行った。主な研究成果を以下に記す。 1)神、甲斐ほかは、CALIPSO・CloudSat・ECMWF再解析の結合データを用いて、ダスト(黄砂とサハラダスト)の発生・輸送および光学特性の解析を行った。特に、神は雲マスクの改良を行い、誤判別雲(濃いダストはしばしば雲と誤判別される)を検出する方法を開発した。この方法をスペースライダーのグローバルデータに適用すると、サハラ砂漠やタクラマカン・ゴビ砂漠上空で、誤判別問題を回避できることがわかった。 2)甲斐、神は、2013年5月、シーロメーターをモンゴル・ダランザドガド気象台(ゴビ砂漠)に設置し、黄砂プロファイルの連続観測を開始した。観測データはインターネットを通じて、1時間ごとに、名古屋大学の甲斐研究室に転送され、解析されている。現地に設置したWEBカメラから圃場の様子をモニターすることができる。この連続観測により、黄砂プロファイルの季節変化およびダストの境界層から自由対流圏への輸送過程を解析した。 3)竹見は、数値計算用のワークステーションとスパコンと併用しながら、複雑地形上の気流の解析を行った。星野は、昨年から引き続き、現地調査と衛星リモートセンシングにより、最新の植生・粗度情報・土壌水分を地表面モデルに取り込む作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中国西域と北アフリカの現地観測は、政治情勢の悪化により、変更を余儀なくされた。その対応策として、①観測代替地として、モンゴル・ゴビ砂漠の選定、②衛星搭載ライダーCALIPSO・雲レーダーCloudSat・ECMWF結合データの解析を行い、ほぼ計画通りの成果が得られた。 ①に関しては、2013年5月からダランザドガド気象台にシーロメーターを設置し、連続観測を開始している。観測データはインターネットを通じて、名古屋大学甲斐研究室の転送され、解析が進められている。 ②に関しては、スペースライダーデータの処理の際、雲/エアロゾルの誤判別問題が生じるが、この問題を回避する方法を開発した。
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今後の研究の推進方策 |
①南ゴビ(ダランザドガド気象台)に設置したシーロメーターの観測データを解析し、発生源地域における黄砂プロうファイルの季節変化、およびダストイベントごとに境界層から自由対流圏へのダスト輸送プロセスを解明する。 ②発生源地域における植生分布と環境条件との関係を明らかにする。 ③シーロメーターでとらえられたダストイベントを対象に、ダストの発生・輸送機構を数値モデルで再現し、そのメカニズムを考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
モンゴルでの黄砂観測を推進する。現地観測の結果を数値モデルに取り入れて、黄砂の発生・輸送機構を調べる。 直接経費次年度使用額は、シーロメーター観測のための消耗品等に使用する。
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