研究分担者 |
牛尾 知雄 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50332961)
森本 健志 近畿大学, 理工学部, 准教授 (60403169)
芳原 容英 電気通信大学, 情報理工学部, 教授 (10303009)
高橋 幸弘 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (50236329)
鈴木 睦 (独)宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 主幹研究員 (60142098)
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研究概要 |
スプライトの水平空間分布と親雷放電の放電特性を,国際宇宙ステーションからの雷・スプライト観測装置(JEM-GLIMS)と地上の光学・電磁波連携観測によって明らかにする。さらに,雷放電上空の電磁界と電子密度の時間・空間変動を,時間領域差分(FDTD)法を基にしたモデル計算で求める。これらの定量的比較検証をもってスプライトの発生条件を明らかにし,新しい発生メカニズムを構築することが本研究の目的である。 平成24年度の第一の実績は,JEM-GLIMSの打上げを7月に成功させ,12月からは定常的な天底観測を開始した事である。これまでに1,000例近くの雷・スプライト天底観測データの取得に成功しており,世界初の偉業である。JEM-GLIMSのデータ処理プログラム群を開発し,詳細解析を開始した。第二の実績として,地上雷放電電波観測ネットワークの観測機器を整備した点である。11月から3月にかけて北欧・キルナ,南極・昭和基地,国内・女川観測所のELF観測システムを整備した。同時に,札幌,千葉,山梨にVLF観測システムをそれぞれ新設し,フィリピン,タイ,インドネシア,台湾のVLFシステムも新設・整備した。これらによって,JEM-GLIMSで観測した雷放電の電気的特性をつぶさに明らかにする万全の体制が整った。第三の業績として,FDTD法を整備している点である。電気通信大学のグループを中心としてプログラムの開発と整備を進めており,今後JEM-GLIMSで得られるデータとモデル計算結果との比較を行う予定である。また,国内・欧州の研究者と連携し,JEM-GLIMSと連携した光学観測を実施する体制を確立した点も,業績として挙げられる。 本研究でなし得たJEM-GLIMSによる軌道上観測と地上観測で得られるデータ群は間違いなく世界トップであり,今後の詳細研究によって大きな成果が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度以降の研究計画に変更はない。JEM-GLIMSで得られるデータを詳細に解析し,スプライトの水平空間分布と親雷放電との関係を明らかにする。さらに地上ELF・VLF波動観測ネットワークのデータを駆使し,JEM-GLIMSで観測されたスプライトに対し,親雷放電の発生時刻・位置に加え,極性・電荷モーメント変化・ピーク電流値・放電電流波形などの放電特性を明らかにする。また,国内外の研究者と連携し,JEM-GLIMSと同期した地上からの光学観測を実施する。
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