研究課題
平成27年度の第一の業績は,JEM-GLIMSが3年間の軌道上観測期間中に検出した8357例の雷放電イベントのうち,42例のスプライト,508例のエルブスを同定した点である。これほど数多くのスプライトを天底観測によって検出した実績は世界初の快挙といえる。第二の業績は,スプライトと親雷放電との空間的差異を定量的に明らかにした点である。42例のスプライトを統計的に解析した結果,親雷放電からの空間的偏差は2-24 kmの範囲にわたり,中央値は13.6 kmとなることを明らかにした。また,JEM-GLIMS搭載のVHF干渉計による観測データから,スプライトを発生させた雷放電が放射したVHF帯電磁パルスの発生源は,スプライトから10 km以上離れていることを定量的に明らかにした。これらの事実から,スプライトが発生した初期条件とメカニズムを推定し,本研究の最終目標到達にむけた重要な成果を挙げることができた。第三の業績は,雷放電と高高度放電発光現象の発生頻度とその地方時・季節依存性を初めて定量的に明らかにした点である。特に,高高度放電発光現象の発生頻度を平均して10.4例/分と推定した結果は世界初である。第四の業績は,本研究をまとめた4本の査読論文が採択・出版された点と,国内・国際学会における4件の招待講演を行った点である。一方で当初の計画では,雷放電水平電流放射の電磁パルスが生起する,雷放電上空の電磁界・電子密度の時間空間変化を,時間領域差分法(FDTDモデル)を用いて推定する予定であった。しかし予想に反して,スプライトと同時観測したVHF電磁パルスは,ほとんどの波形において振幅が飽和しており,放射源を特定できた例は極めて限定的であった。このため今後は,JEM-GLIMS光学観測データから雷放電水平電流形状を推定しFDTDモデル計算を行い発生メカニズムに迫る研究を,H28年度に採択された新規・基盤研究(B)において継続的に実施する予定である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (21件) (うち国際共著 19件、 査読あり 21件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (38件) (うち国際学会 20件、 招待講演 6件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
Journal of Atmospheric and Solar-Terrestrial Physics
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