研究課題
ジオスペース最大規模の変動現象である宇宙嵐(geopace storm)時には、放射線帯が大きく変動することが知られており、この変動機構の解明は、国際ジオスペース探査の主目標となっている。放射線帯電子の加速過程を理解するためには、内部磁気圏における電磁場と粒子の変動を理解することが不可欠であるが、申請者らはこれまでに、両者を自己無撞着に解くことが可能な新しい環電流モデルを開発してきた。この新モデルの特徴は、世界で初めてULF波動を含む電磁場の変動と環電流イオンのダイナミクスを同時に物理方程式に基づき記述可能にした点である。本研究では、新モデルのULF波動記述性能を向上した上で、放射線帯粒子の軌道追尾モデルと結合し、ULF波動が放射線帯粒子加速に果たす役割を調べた。研究計画最終年度である平成27年度には、プラズマ圏記載モジュールの開発を完了するとともに、Pc5帯のULF波動に着目し、放射線帯モデルとの結合計算を実施して、放射線帯電子と波動の相互作用過程の基礎的性質を詳細に調べた。一例として、理論と比較のしやすい単色波Pc5と電子のドリフト共鳴のモデル結合シミュレーションを実施し、電子が共鳴する位置やその動径方向への輸送量、また電子のエネルギーやピッチ角といったパラメータ依存性を解析し、定量的な考察を行った。その結果、ドリフト共鳴による動径方向への輸送は、非線形効果による有限共鳴幅を持ち、輸送効率がピッチ角依存性を持つことなどが明らかとなった。また、モデルの境界条件にも関係する内部磁気圏のプラズマ源に関するデータ解析及び理論研究も進め、電離圏からのプラズマ供給の上限を決定する物理機構に関する成果などを得た。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
AGU Geophysical Monograph
巻: 未定 ページ: in press
Space Science Reviews
巻: 192 ページ: 27-89
10.1007/s11214-015-0170-y
Journal of Geophysical Research
巻: 120
10.1002/2015JA021562
Geophysical Research Letters
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