放射線帯形成には外部供給説と内部加速説の二つがある。外部供給説においてはプラズマシートなどの放射線帯外縁部での粒子加速と磁気圏電場による粒子輸送が重要である。内部加速説においてはkeV帯電子の輸送と相対論速度まで加速する波動粒子相互作用が重要である。強い南向き惑星間空間磁場をグローバル電磁流体シミュレーションに与え、得られた磁場と電場を用いて内部磁気圏ドリフト移流シミュレーションを実行し、内部磁気圏に捕捉されたeVからMeVまでのエネルギーを持つ電子の移流を解いた。最初のサブストームはMeV帯電子に対する影響は小さい。プラズマシートの温度が低いためと考えられる。磁気嵐開始から3時間が経過した頃からプラズマシートの温度が上昇し、サブストームによって多くの高エネルギー電子が内側に輸送され、サブストーム性電場によって内側に輸送された。その結果MeV帯電子がt=3時間以降増加した。一方、多くのkeV帯電子が最初のサブストームで内部磁気圏に注入され、内部磁気圏中の温度異方性が上昇するが、プラズマ周波数とジャイロ周波数の比(fpe/fce比)は高く維持されたままであった。これは、プラズマ圏が十分縮小していないためである。その後、強い対流電場によってプラズマ圏がゆっくりと縮み、磁気嵐開始から3時間が経過した頃にはfpe/fce比が低い領域が広く現れる。電子の温度異方性が高くfpe/fce比が低い領域でホイッスラーモード・コーラス波動が成長し、電子をMeV帯に効率良く加速できる条件が整うまでには時間がかかり、その時間はプラズマ圏がの輸送が支配的であることを示唆する。
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