研究課題
本研究はロケット観測と地上観測の連携によって中規模伝搬性電離圏擾乱(MSTID)の発生機構を解明することを目的とする。研究の中心は2013年7月にJAXA内之浦宇宙センターから実施した実験であるが、他にも米国NASAの複数のロケット実験にも参加した。さらに国内外の地上GPS受信機網などからMSTIDの研究を実施した。平成26年度の研究実施状況を以下に示す。各観測機器・項目についてデータ解析を継続実施したうえで、2014年11月26日にJAXA宇宙科学研究所において検討会を行った。さらに2015年3月3-5日に米国で開催された日米合同ワークショップに日本から4名が出席して議論を行った。2013年7月20日の観測結果は「平成25年度第1次観測ロケットS-310-42号機・S-520-27号機飛翔実験報告書」にまとめられた。観測結果のまとめを示す。(1)地上のGPS受信機網によって打上げタイミングを定め、現象発生中に2機のロケットを連続して打上げ、電離圏の直接測定と中性大気の観測を成功させた。 (2)電子密度はロケットの上昇時に比べて下降時の電子密度が最大で約7倍と大きい。MSTIDに伴う電離圏の水平構造が明らかになった。電界は北東向きであり、高度100km付近にはスポラディックE層(Es層)が発生していた。中性大気風速はEs層を形成する方向の高度シアを示し中心高度で南向きであった。これらは事前に想定したMSTID発生モデルと一致しており、ほぼ予想に沿う結果が得られた。また複数のセンサー情報を総合してロケット姿勢の推定精度を飛躍的に高めることにも成功した。 (3)満月下のリチウム放出実験(世界初の試み)を実施し発光撮像に成功した。ロケットに搭載された改良型のリチウム放出機構の正常動作が確認できた。ロケットの2機連続打上げ、航空機を利用した撮像観測、電離圏のリアルタイムモニタリング、などを総合すると、本課題では、現在の日本で実施しうる最大規模の観測を成功させたと言える。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (18件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)
平成25年度第1次観測ロケットS-310-42号機・S-520-27号機飛翔実験報告書
巻: SES-TD-14-004 ページ: 147-152
巻: SES-TD-14-004 ページ: 153-156
巻: SES-TD-14-004 ページ: 181-183
巻: SES-TD-14-004 ページ: 203-208
巻: SES-TD-14-004 ページ: 209-218
J. Geophys. Res. Space Physics
巻: 119 ページ: 9268-9282
10.1002/2014JA020368
http://www.jaxa.jp/press/2013/07/20130721_s-310-42_s-520-27_j.html
http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/topics/2013/0521_s-310-42.shtml