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2014 年度 実績報告書

南海プレート境界の不均質すべりと前弧テクトニクスの相関抽出

研究課題

研究課題/領域番号 24340122
研究機関金沢大学

研究代表者

水上 知行  金沢大学, 自然システム学系, 助教 (80396811)

研究分担者 平松 良浩  金沢大学, 自然システム学系, 教授 (80283092)
遠藤 徳孝  金沢大学, 自然システム学系, 助教 (60314358)
WALLIS R・Simon  名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30263065)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードプレート境界 / 蛇紋岩 / 地殻変動 / スロースリップ / 重力異常
研究実績の概要

南海プレート境界の不均質すべりの実態解明と前弧テクトニクスとの相関抽出をテーマとして、深部低周波微動の解析と四万十川の離水年代による地形変動解析および、深部で鍵を握ると考えられる蛇紋岩について三波川帯の例を取扱い、鉱物共生と構造の関係について解析を行なった。まず、四国西部の短期的および長期的スロースリップイベントの分布と2種のアンチゴライト蛇紋岩の推定分布域の相関について、四国東赤石岩体と白髪山岩体の観察結果を合わせて議論を詰めて論文を国際誌に公表した。この岩石学的モデルをベースに、西南日本の深部低周波微動の振幅-活動期間およびエネルギーのスケーリング関係の地域的な変化を見たところ、推定蛇紋岩分布と良い相関を示し、連続的な構造変化があることが明らかとなった。ゆっくり滑りの物質科学を進める上で重要な結果である。この成果は、米国地球物理学会などで発表し、2編に分けて投稿準備中である。一方、蛇紋岩構造解析の結果、マイクロスケールに2種の構造要素があり、かつ露頭スケールの層構造も加えて3種の指数関数的スケーリングが認められた。沈み込み帯スケールの現象を理解する上で、この入れ子構造の理解が基盤となる。四万十川では3つの蛇行核の旧河床堆積物について確認調査を行なって解析を完成させ、日本の河川で初めての離水年代を得た。これまで同時間面と認識されてきた中位段丘に2万~15万年の年代幅があり、興津隆起に関係した下刻速度分布が読み取れる。日本地形学連合2014年秋季大会にて発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

構造地質学、地震学、地形学の研究により、それぞれ成果を公表することができた。3つのトピックについて論文原稿の作成が可能な段階に到達している。重力異常については十分な精度のデータは得られているが、密度構造モデルの精密化にはまだ至っていない。また研究代表者の負傷のため夏季に予定していたフィールド調査が実施できず、構造発達モデルを提示するのに十分なデータ量が得られていない。以上の部分を補って研究を完成させるために研究期間をH27年度末まで延長した。

今後の研究の推進方策

次年度の第一のテーマは、ここまでで得られている成果を論文の形にまとめることである。深部低周波微動の振幅スケーリングと蛇紋岩分布の相関、蛇紋岩構造のスケーリングの成因、離水年代結果の報告について直ちに着手する。昨年度までに完了できなかった、野外での層厚分布データを取得し、ミクロスケールの結果と合わせて報告をする。重力異常データについて構造精密化に取り組み解を得たい。
本研究の予算の中では、四国西部の広域的な変動を議論できるような十分な数の離水年代データを集めることができなかった。今回の結果をベースに、より広域的な解析へとプロジェクトを拡張し、今回研究目標として定めた南海プレート境界の不均質なゆっくり滑りに応じたテクトニックな変動を解析すべく、現研究グループのメンバーと計画を練っていきたい。

次年度使用額が生じた理由

ラマン分光装置のレーザー光源の更新のため予算を計上したが、現有装置が一般的な耐久年限を超えて安定した性能を保っており、本年度は更新の必要が生じなかった。一方で、四万十川河川発達、蛇紋岩の構造解析について、より詳細なフィールドデータの必要性が生じたため、計画を変更して野外調査を優先して研究を進めてきたが、蛇紋岩の構造解析については追加調査が必要な状況にある。

次年度使用額の使用計画

蛇紋岩構造について野外調査によりデータを補充し、採取試料の微細構造解析を行なう。その結果をまとめて、学会発表し、論文原稿を作成する。上記計画のため助成金の未使用額を、調査および学会参加のための旅費、調査補助および試料処理のための謝金、岩石試料の加工と研磨のためのダイヤモンドブレードや研磨剤などの物品、論文掲載料に当てる。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (11件)

  • [雑誌論文] Two types of antigorite serpentinite controlling heterogeneous slow-slip behaviours of slab-mantle interface.2014

    • 著者名/発表者名
      Mizukami, T., Yokoyama, H., Hiramatsu, Y., Arai, S., Kawahara, H., Nagaya, T. and Wallis, S. R.
    • 雑誌名

      Earth and Planetary Science Letters

      巻: 401 ページ: 148-158

    • DOI

      10.1016/j.epsl.2014.06.009

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Reply to comment by Nozaka (2014) on "Dehydration breakdown of antigorite and the formation of B-type olivine CPO".2014

    • 著者名/発表者名
      Nagaya, T., Wallis, S.R., Kobayashi, H., Michibayashi, K., Mizukami, T., Seto, Y., Miyake, A., Matsumoto, M.
    • 雑誌名

      Earth and Planetary Science Letters

      巻: 408 ページ: 406-407

    • DOI

      10.1016/j.epsl.2014.10.026

    • 査読あり
  • [学会発表] Scaled energy of deep low-frequency tremor in southwest Japan2014

    • 著者名/発表者名
      Horino, K., Hiramatsu, Y., Mizukami, T., Obara, K. and Matsuzawa, T.
    • 学会等名
      AGU Fall Meeting 2014
    • 発表場所
      San Francisco
    • 年月日
      2014-12-15 – 2014-12-19
  • [学会発表] 西南日本での深部低周波微動の振幅-継続時間分布とscaled energyの対比2014

    • 著者名/発表者名
      堀野一樹, 平松良浩, 水上知行, 小原一成, 松澤孝紀
    • 学会等名
      日本地震学会2014年度秋季大会
    • 発表場所
      朱鷺メッセ : 新潟コンベンションセンター
    • 年月日
      2014-11-24 – 2014-11-26
  • [学会発表] 地震波経路を利用した S 波偏向異方性モデリングによるウェッジマントル内の antigorite の分布範囲と含有 率の推定法の開発2014

    • 著者名/発表者名
      永冶方敬・ウォーカー アンドリュー・ウッキー ジェームズ ・ケンダル マイケル・ウォリス サイモン
    • 学会等名
      日本地震学会2014年度秋季大会
    • 発表場所
      朱鷺メッセ : 新潟コンベンションセンター
    • 年月日
      2014-11-24 – 2014-11-26
  • [学会発表] 宇宙線生成核種を用いた四万十川流域での旧河床離水年代測定の試み2014

    • 著者名/発表者名
      遠藤徳孝・松四雄騎・水上知行・松崎浩之
    • 学会等名
      日本地形学連合2014年秋季大会
    • 発表場所
      奈良大学
    • 年月日
      2014-10-11 – 2014-10-12
  • [学会発表] 蛇紋岩から流体の化学的性質を読み取る岩石学的試み2014

    • 著者名/発表者名
      水上知行・林 竜太郎・石神 慎太郎・大柳良介・岡本 敦・福士圭介・奥野正幸・荒井章司
    • 学会等名
      日本地球化学会2014年会
    • 発表場所
      富山大学
    • 年月日
      2014-09-16 – 2014-09-16
  • [学会発表] スラブ-マントル境界の不均質なスロースリップ挙動を支配する2種類のアンチゴライト蛇紋岩2014

    • 著者名/発表者名
      水上知行・横山寛紀・平松良浩・荒井章司・河原弘和・永冶方敬・Simon Wallis
    • 学会等名
      日本地質学会大121年学術大会
    • 発表場所
      鹿児島大学
    • 年月日
      2014-09-13 – 2014-09-13
  • [学会発表] 地震波異方性モデリングが示す含水前弧マントルの大規模対流ー琉球弧の例2014

    • 著者名/発表者名
      永冶方敬 Walker, A., Wookey, J., Kendall, M. and Wallis, S.
    • 学会等名
      日本地質学会大121年学術大会
    • 発表場所
      鹿児島大学
    • 年月日
      2014-09-13 – 2014-09-13
  • [学会発表] Spatial variation in slope of duration-amplitude scaling of deep low-frequency tremors in southwest Japan2014

    • 著者名/発表者名
      Horino, K., Hiramatsu, Y., Obara, K. and Matsuzawa, T.
    • 学会等名
      AOGS Annual Meeting
    • 発表場所
      Sapporo
    • 年月日
      2014-07-28 – 2014-08-01
  • [学会発表] Serpentinite structure above subduction surface: Analysis of a natural example in Sanbagawa metamorphic belt.2014

    • 著者名/発表者名
      Mizukami, T., Soda, Y., Yokoyama, H. and Hiramatsu, Y.
    • 学会等名
      日本惑星地球科学連合2014年会
    • 発表場所
      横浜パシフィコ
    • 年月日
      2014-04-28 – 2014-04-28
  • [学会発表] Spatial variation in scale length of deep low-frequency tremor inferred from duration-amplitude scaling in western Shikoku.2014

    • 著者名/発表者名
      Horino, K., Hiramatsu, Y., Mizukami, T., Obara, K. and Matsuzawa, T.
    • 学会等名
      日本惑星地球科学連合2014年会
    • 発表場所
      横浜パシフィコ
    • 年月日
      2014-04-28 – 2014-04-28
  • [学会発表] Slab-wedge mantle boundary preserved in the Sanbagawa belt, SW Japan2014

    • 著者名/発表者名
      WALLIS, S., MORI, H. and NAGAYA, T.
    • 学会等名
      日本惑星地球科学連合2014年会
    • 発表場所
      横浜パシフィコ
    • 年月日
      2014-04-28 – 2014-04-28

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公開日: 2016-06-01  

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