研究課題/領域番号 |
24340123
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田上 高広 京都大学, 理学研究科, 教授 (80202159)
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研究分担者 |
堤 昭人 京都大学, 理学研究科, 助教 (90324607)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 熱年代学 / 震源断層 / 温度履歴 / 四万十帯 / IODP |
研究概要 |
まず、四万十付加帯興津メランジェ直上の古震源断層(境界断層)について、これまでに行った研究により、境界断層を挟んで上盤側の野乃川層側約1kmと下盤側の興津メランジェ約500mの計52地点からジルコンFTデータが得られ、インバージョンにより加熱イベントの時期を48±6Ma(2SE)と求めることが出来ている。そこで、それらの試料について、ジルコンを用いた(U-Th)/He年代測定により加熱イベントの期間・温度を推定するための準備を進めた。連携先であるJAEA東濃にある(U-Th)/He年代システムについて、ジルコンのUTh濃度測定の実験手順改良とデータ較正を進めた。アルカリ溶融を採用した結果、従来の強酸を用いる手順より、信頼度の高いデータが得られるようになった。 次に、10DPによる現世の震源断層(日本海溝の東日本大震災震源断層、および南海トラフの付加体中の分岐断層)掘削については、前者の掘削において震源断層の貫通に成功したが、残念ながら、砂岩と方解石脈は得られなかった。断層ガウジは得られたが、該当深度では被熱が不十分なため分析は行わなかった。後者については、断層上盤側のカッティングスではあるが、連携先の東京大学のグループが入手に成功したので、試料調整の準備を行うことが出来た。 さらに、方解石脈を用いた230Th法と、断層ガウジの自生イライトを用いたK-Ar(Ar/Ar)法による年代測定の予察的研究を行うことが出来た。前者については、最終活動履歴のわかっている跡津川断層系について、連携先のJAEA東濃と東京大学を中心に方解石脈の年代測定を試み、一万年より若い予察的年代値が得られたことから、日本列島周辺での最終活動年代決定のポテンシャルが確認された。後者についても、最終活動履歴のわかっている有馬高槻断層系について、連携先のJAEA東濃とCSIROを中心に地表露頭の断層ガウジの年代測定を試み、粒度と相関する約40-50Maの予察的年代値が得られた。このことから、活断層系の最終活動年代決定のポテンシャルは確認されたものの、イライトがその場形成される地殻深部から試料採取する必要性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各項目ごとに多少の遅早はあるが、全体的には当初の目標に向かって順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
IODPによる現世の震源断層のうち、日本海溝の東日本大震災震源断層については、年代測定に適した試料が確認されなかったので、今後は南海トラフの付加体中の分岐断層を中心に進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
東日本大震災震源断層について、年代測定に適した試料が確認されず、研究が進められなかった事などによる。その一方、方解石脈と断層ガウジの年代測定には進捗が見られたので、それらを更に進めると共に、国際会議での成果発表を最低2回予定している。
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