地震時の断層滑りを大きく拡大させる要因である熱圧化を、個々の地震断層が過去に経験したかどうかを評価するための手法として、断層の岩石の化学分析を検討した。米国のコディアック付加体中のプレート境界断層および長野県の中央構造線の活断層について、熱圧化の前提となる高温(250~>350℃)の水(流体)が地震時に存在した化学的証拠を分析により示した。また、地震時の断層滑りを再現する室内実験に基づき、高温流体が断層の岩石の化学組成を変化させることを立証した。300℃を超える温度条件では断層の岩石の化学組成変化はモデル計算による予想と概ね一致し、断層の熱圧化履歴の化学的評価法構築に向けて前進した。
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