研究課題
揚子地塊は,「微生物礁から骨格生物礁への構築様式の転換」や「オルドビス紀生物大放散」が世界に先駆けて開始した特異な地域である.本研究の目的は,これら「顕生累代のおける地球生物相の大変革」の背後要因を解明することである.平成26年度の成果は次の通りである.1. 揚子地塊のカンブリア紀礁との比較のために,北中国地塊に属する山東省済南・莱蕪地域の中部・上部カンブリア系(張夏層と炒米店層)の微生物岩の形成様式を調べた.張夏層の微生物岩は,Epiphytonや普通海綿類が強く関与したスロンボライトで,一方,炒米店層の微生物岩は,柱状ストロマトライトで特徴づけられる.後者の微生物岩では,二次的な充填堆積作用やドロマイト化作用が顕著であるが,海綿類の関与の有無や程度に関しては今後の課題である.2. 同様に,モンゴル,ザブハン地塊に分布する下部カンブリア系(Bayan Gol層とSalaany Gol層)の微生物礁と古杯類‐微生物礁の予察的な検討を行った.揚子地塊,北中国地塊,ザブハン地塊は,それぞれ古地理的な位置が異なるが,おおよそ同様の生物相の変化を示す.各地塊での礁の形成様式や要因は,世界的な規模での「陸域と海域との相互作用」,「栄養塩の供給様式」や「地球生物相の変革様式」の詳細を探る上で重要な情報を提供する.3. コンピューターシミュレーションやX線CT解析を通じて,枠組み構築者である群体サンゴ類の「形態多様性が生じる要因」を検討した.無性個体の出芽傾斜,回転角,出芽間隔などが外的な環境に応じて変化していることが示唆される.「礁構築様式の確立や転換」もオルドビス紀前期における地球生物相の変革に大きく寄与したと考えられる.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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