研究概要 |
25-20億年前の初期原生代に地球史上最大の地球表層環境変動イベントが起こった。微量元素(V, Cr, Co, Ni, Cu, Zn, Mo)は様々な酸化還元ポテンシャルを持つので、当時の大気酸素濃度に応じ、それぞれ特有の挙動を示すことが期待できる。28-18億年前の古土壌の微量元素の挙動を解析し、初期原生代における長期的傾向としての緩やかな酸素濃度上昇の検証を行う。 (i)グローブボックス制御装置の設置 循環式酸素分圧制御装置を購入し、設置試験を行い、酸素分圧が10^<-10>気圧での運転が可能であることを確認した。本装置納入までは10^<-5>気圧での運転だったので、より低酸素での実験が可能になった。ただ、10^<-6>や10^<-7>気圧付近での装置の安定性は今後の課題である。 (ii)微量元素の大陸での濃度変動 古土壌試料は、Mt.Roe(27.6億年前)、Pronto(24.5億年前)、Cooper Lake(24.5億年前)、Ville Marie(23.3億年前)、Hokkalampi(23-2億年前)、Flin Flon(18.5億年前)を使用した。XRFにて主要元素の測定を行い、微量元素は岩石を分解、溶液化した後、ICP-AES&-MSにて測定した。一部の古土壌は文献データを活用した。これらの濃度をMurakami et al.(2011, GCA)の方法に従い、element retention(MR)で解析した。この結果、Coは初期原生代になり、より大陸に保持(海洋に流出しない)されるようになり、V, Crは大陸での保持が幾分弱くなり、Ni, Znは大陸での保持が幾分強くなり、Mo, Cuは変化をとらえることができなかった。
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