研究課題
本研究の当初目標は前年度までにほぼ終了したので、本年度はスラブ内の流体の塩濃度を研究対象とした。前年度まで、マントルウェッジの岩石に塩水と炭酸塩鉱物からなる流体包有物を発見し、記載、報告していた。それらは、これまでに例のない報告であった。また、高温度高圧力実験を行なうことによって、沈み込み帯のマントルウェッジで生成されるマグマには、スラブからの塩水の供給が重要であることを確認するのに成功していた。平成27年度は、マントルウェッジに塩水をどう運ぶかに制約条件を与えるために、スラブを構成する高圧変成岩中の流体包有物を研究対象とした。特に、蛇紋岩メランジュに含まれるヒスイ輝石岩に注目した。その結果、複数の変成帯の岩石中に塩水を含む流体包有物を発見した。結果は、現在投稿準備中である。実は、これまでにも、高圧変成岩中の塩水は珍しくなかった。しかし、幅広い塩濃度を持つ報告が多く、その成因は複雑であると考えられていた。しかし、ヒスイ輝石岩のように単純な岩相で圧力温度履歴も単純と考えられるものは、海水に似た塩濃度の値を持つことが多いことがわかった。これは、スラブ中の含水鉱物は海水とスラブの反応によって形成されることを示していると考えている。平成27年度の発表論文としては、これまでの研究結果を日本語総説でまとめ、また、沈み込み帯の水流体に関する特集号を編集した。さらに、新しい含水相についての紹介文が2016年5月に印刷される予定である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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