日本列島下に沈み込む太平洋プレートを構成する海洋地殻の42元素とSr-Nd-Nf-鉛同位体組成を測定し,沈み込む太平洋プレートの脱水・変成によって発生する流体組成のモデル計算を実施した.この流体がマントルに付加し発生する島弧マグマの組成を計算し,東北日本弧ならびに西南日本弧に噴出したマグマの組成を比較した.モデル計算で推定される物理条件と観測の間の整合を確認し,島弧マグマの複雑な生成条件を明らかにすることに成功した.この結果から東北日本と西南日本のマグマの成因が,基本的に沈み込む海洋プレートの温度に依存し,この2地域で化学組成の全く異なる島弧マグマ群が発生していることが明らかになった.
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