研究課題/領域番号 |
24340138
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
鹿園 直建 東京学芸大学, 教育学部, 研究員 (10011751)
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研究分担者 |
加藤 泰浩 東京大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40221882)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 二酸化炭素 / 水-岩石反応 / 炭素循環 |
研究概要 |
平成24年度の研究成果は以下のようにまとめられる。 (1)新規に購入した二酸化炭素反応装置を立ち上げ、予備的実験を行った。 (2)反応装置を使用し、島弧・海嶺玄武岩試料のCO_2・H_2O反応実験(CO_2分圧=0,1,5MPa、温度=40℃)を行った。その結果、試料・CO_2分圧の違いにより、溶解速度に変わりがないことを確認した。 (3)今回の閉鎖系における実験結果を、他の研究者によるこれまでの実験結果(開放系)と比較すると、1~2桁の速度の違いが確認された。 (4)この相違をもたらす要因として、閉鎖系と開放系の違いが考えられる。 開放系の場合、玄武岩が溶解しても水が次々と流れて希釈され、平衡からかなり外れた状態となる。閉鎖系の場合は平衡により近い。この平衡からのずれが溶解速度に大きな影響を与えると考えられる。 溶解速度の平衡からのずれに対する依存性については、従来は遷移状態理論(Transition State Theory ; TST)で考えられてきた。この理論では、溶解速度は平衡からのずれに対して線形関係である。しかし、今回の結果は線形関係になっていない。理由として、平衡からのずれの程度により、玄武岩ガラス表面状態が変化することが考えられる。また、非晶質物質・鉱物の表面で沈殿が生成することも考えられる。沈殿生成によって溶液中の濃度が低く抑えられ、見かけの溶解速度が小さくなる可能性がある。今後は表面状態の観察・分析等を行い、溶解メカニズムを詳しく検証する必要がある。 次年度は上記の点を明らかにすることにより、溶解反応律速メカニズム(表面反応、拡散)を解明していきたい。 そして、推定された溶解速度を基に、玄武岩のCO_2水溶液反応シミュレーションを行う。特に、地球初期における大気CO_2分圧の時間依存を求め、CO_2とCH_4の温室効果に対する寄与の程度を求めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水-岩石反応実験、岩石資料分析は順調に進められ、多くのデータが得られている。これらの詳しいデータ解析は今後進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後はさらに水-岩石反応実験、岩石資料分析を多く行い、これらのデータをもとにシミュレーション解析を行い、地球初期環境(二酸化炭素、酸素、メタン)を明らかにする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、反応実験装置消耗品、水-岩石分析関係(pHメーター等の分析装置、試薬品等)、実験・分析・フィールド調査・データ整理等の謝金、フィールド調査費、依頼分析、国外国内学会発表、論文発表等に使用する所存である。
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