研究課題/領域番号 |
24340139
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
高橋 和也 独立行政法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 専任研究員 (70221356)
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研究分担者 |
木寺 正憲 独立行政法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 仁科センター研究員 (60360533)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 宇宙科学 / 地球化学 / 同位体分析 / ECRイオン源 / 鉄隕石 |
研究概要 |
理化学研究所において開発中の電子サイクロトロン共鳴イオン源質量分析装置(ECRIS-MS)を感度性能や汎用性を活かした同位体分析装置としてカスタマイズし、惑星物質の同位体異常について系統的な解析に応用していくのが本研究の目的である。平成24年度においては、検出系、イオン源、試料導入系の基本的なカスタマイズに着手し、同時に簡易的なレーザーアブレーションシステムを導入した。また、検出器の複式化に備え、排気システムを強化した。以上の成果に基づき、平成25年度においては以下の研究を実施した。 1.当初の研究目的に従い、高速移動式のスリットと大型のファラデーカップを組み合わせた疑似複式検出器の設計を行った。また、設計した高速移動式のスリットの形状にあわせて検出器へのイオンの入射系の微調整を行った。 3.以上の準備の上で、検出系の製作を行った。製作した検出系は平成26年1月までに組み上げ、現在、スリットの駆動に伴う振動の処理など最終調整中である。 4.一方、応用への基本データの集積のため、小型のECRイオン源を用いて、試料導入効率を高めるためのシミュレーションを行うとともに、天然の鉱物試料中の鉛同位体比などを表面電離型の質量分析装置を用いて分析した。 今年度末より、レーザーアブレーションシステムと複式検出器を組み合わせた同位体分析を本格的に開始する。まず、Moを3%程度含む標準試料に対する実証的な分析から始めて行く予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した実施項目はほぼすべて行い、来年度は標準試料を用いた実証実験的な同位体分析に予定どおり進むことが出来る。複式化した検出器の性能が当初の予測通り発揮できるかについて未知数的なところはあるが、代替計画も用意しているので、目的達成についての不安要因はほとんど無い。
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今後の研究の推進方策 |
レーザーアブレ-ションによる試料導入と複式化した検出器を組み合わせた同位体分析を行い、イオン光学系の最適化を行いつつ、実試料の局所同位体分析を試みる。特に、複式化した事、レーザーアブレーションを組み合わせた事によるイオン光学系の調整に留意しつつ、質量差別効果(本来、ECRイオン源では殆ど出ないはずであるが、)の有無について吟味を行う。標準的な試料だけではなく、実際に隕石試料(GoalparaやKapoetaなど)に対する分析も開始する。これは当初の研究計画に沿ったもので有り、予定通りである。
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次年度の研究費の使用計画 |
368,989円の次年度使用額が発生した。これは、複式検出器の製作において、駆動部を一部マニュアル化したため、制御部に関わる部品に関する経費を次年度に繰り越したためである。すなわち、複式検出器の駆動部分をマニュアル操作し、質量スペクトルの形状を(特にスリットエッジにおけるピーク形状を)吟味し、かつ、駆動振動によるノイズ発生を調査した後、自動制御プログラムに反映させるための措置である。平成26年度において、複式検出器の駆動スリットの制御系にこの経費を使用する予定である。 上記のように、平成25年度に作成した複式検出器をコンピュータによる自動制御とするために使用する予定である。
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