研究課題
生体高分子などの質量分析に広く用いられているエレクトロスプレーイオン化法と、レーザー誘起蛍光法を結びつけて、これまで孤立分子状態では発光による観測が行われてこなかった錯イオンや生体高分子などの化学種を、発光観測することを目指して研究を進めてきた。昨年度までに真空中にトラップできるイオン濃度をできるだけ上げるために改良を行い、飛行時間質量スペクトルを観測することは容易にできるようになったが、目的とする錯イオンRu(bpy)32+からの発光を観測することはできなかった。本年度は、より発光の量子収率の高い色素分子(ローダミン590)を用いて観測を試み、孤立分子状態にある色素分子イオンの蛍光の観測に成功した。イオントラップへの保持時間を長くし、1秒程度にすると、蛍光強度は強くなり、光子計数法によらなくてもLIFスペクトルを観測することができた。観測したスペクトルは、溶液中のものと比べ50nm以上短波長へシフトしており、大きな溶媒効果があることが示された。同様のイオン濃度条件でRu(bpy)32+イオンについて観測を試みたが、「蛍光」は観測されなかった。また、孤立分子状態にあるローダミン590色素分子イオンの蛍光スペクトルの観測を試みたが、感度が不十分でまだ成功していない。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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The Journal of Chemical Physics
巻: 142 ページ: 154307(7 pages)
10.1063/1.49186361
http://www.sci.u-hyogo.ac.jp/edu/kenkyuu/base14.html
http://www.sci.u-hyogo.ac.jp/material/reaction1/index-j.html