研究概要 |
本研究では、優れた物性を持つ高分子材料の合成を目指して、希土類錯体の特異な性質を利用した高活性、高選択的な重合触媒系の構築を行っている。本年度は、本年度は、様々な配位子を持つハーフサンドイッチ型スカンジウムジアルキル錯体を用いて、1,6-ヘプタジエン(HPD)とイソプレン(IP)の共重合について詳細に検討したところ、触媒活性や立体選択性において顕著な配位子の効果が見いだされた。THFが配位したスカンジウム錯体またはメトキシ基を側鎖として有するスカンジウム錯体を用いて共重合を行うことにより、メチレン-1,3-シクロヘキサン(MCH), 3,4-ポリイソプレン(3,4-IP)と1,4-ポリイソプレン(1,4-IP)ユニットを有するランダム共重合体が得られた。またモノマーの仕込み比を変えることにより、HPDモノマーユニットの含有率を11-55モル%で制御できることが明らかとなった。またホスフィンオキシド側鎖を有するスカンジウム触媒を用いて共重合反応を行うことにより、3,4-IP, 1,4-IPとMCH構造を有する交互共重合体の合成に初めて成功した。この触媒によるHPDの環化重合は位置および立体選択的に進行し、cis-MCHの選択性が最高99%に達した。この共重合体の機械物性を測定した結果、引っ張り強度は最高67 MPa、弾性率は最高2900 MPaに達し、対応するイソプレンと1,6-ヘプタジエンのランダム共重合体に比べて数倍の強度を示した。今後新たな重合触媒を開発し、特異な機能を発現する高分子材料の開発を進める予定である。
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