研究課題/領域番号 |
24350030
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
西浦 正芳 独立行政法人理化学研究所, 侯有機金属化学研究室, 専任研究員 (30332258)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 希土類アルキル錯体 / スカンジウム / スチレン / 高分子化学 / 共重合 |
研究実績の概要 |
本研究では、優れた物性を持つ高分子材料の合成を目指して、希土類錯体の特異な性質を利用した高活性、高選択的な重合触媒系の構築を行っている。本年度は、様々な配位子を持つハーフサンドイッチ型スカンジウムジアルキル錯体を用いて、1,6-ヘプタジエンとスチレンの共重合について詳細に検討したところ、共重合活性において顕著な配位子の効果が見いだされた。THFが配位したスカンジウム錯体(C5Me4SiMe3)Sc(CH2SiMe3)2(thf)(1)を用いてヘプタジエンとスチレンを反応させるとヘプタジエンとスチレンのホモポリマーの混合物を与えた。一方、ホスフィンオキシド側鎖を有するハーフサンドイッチ型スカンジウムアルキル触媒(C5Me4SiMe2CH2P(O)Ph2)Sc(CH2SiMe3)2(2)を用いて共重合反応を行うとメチレン-1,3-シクロヘキサン(MCH)やポリスチレンユニットを有するランダム共重合体が得られた。ポリマーのミクロ構造は、HMQCやHSQCなどの2次元NMR測定により明らかにした。またモノマーの仕込み比を変えることにより、HPDモノマーユニットの含有率を7-85モル%と比較的広い範囲で制御できることが明らかとなった。錯体1と2で顕著な反応性の違いが現れたことから、シクロペンタジエニル配位子上の置換基を変えることにより、共重合反応における活性や選択性を制御できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
希土類触媒を用いることにより、スチレンと非共役ジエンの共重合反応が初めて達成され、新規高分子材料の開発に成功し、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き希土類重合触媒を開発するとともに、C-H結合活性化を利用したオレフィン類とヘテロ芳香族化合物との重付加反応やリビング重合技術を用いて耐熱性に優れたエラストマーの開発に向けて研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度後半にこの研究に参画する博士研究員が新たに配属される予定であり、一部の基金を残している。
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次年度使用額の使用計画 |
これらの予算は、新しく加入する博士研究員のための実験器具や試薬の購入および学会発表のために使用する計画である。
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