研究課題
原子空孔を代表とする格子欠陥を高感度に検出する陽電子による原子空孔マップ計測手法の空間分解能を従来と比較して百倍程度向上させ,原子空孔と物性との相関を定量的に評価する手法の開発を目的とする。表面から再放出する陽電子を拡大結像させるという新原理に基づく手法を開発し,空間分解能を数十nmに向上することを狙う。さらに陽電子消滅励起おーじぇ電子を研出し,空孔化学状態分析を実現する。それらにより微細構造をもつ材料の格子欠陥分析に応用し,欠陥と物性の相関解明を行い物質科学研究のブレイクスルーに資する。H25年度までは,装置の開発および意図的に欠陥を局所に生成させたモデル試料を用いて,原子空孔分布の測定や空間分解能の向上を評価した。H26年度はその手法の応用展開として水素脆化問題に取り組んだ。水素脆化は,水素による空孔形成エネルギーの低下により超多量空孔形成が起点になっていると考えられている。しかしながら従来法では平均情報としてはみられるものの,破壊現象にいたる過程での成長は観察されていない。その結果,以下の知見が得られた。①水素チャージにより空孔クラスター形成が促進されること,②水素脆化波面においては破面から1 mmまで空孔クラスター形成が顕著にみられるのに対し,通常の延伸材では0.1 mm領域に限られること,③フェライト相でもオーステナイト相でも空孔クラスター形成の促進はみられること。④水素脆化においては水素が重要なのか,それにより形成された空孔クラスターが重要なのかという点において,いったん水素によって形成された空孔クラスターが重要であること。以上の非常に基礎的な知見は本研究により初めてわかったことで,長年の問題解決に資するもので非常に有意義である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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