研究課題
基盤研究(B)
マイクロパタンを用いるスフェロイド培養法が簡単な操作でADSCに三次元微小培養環境を提供できることを明らかとした。また、構築したADSCスフェロイドは増殖能が低下し、形成直後一定期間幹細胞性が向上すること、さらに骨芽細胞への分化効率が上昇することを明らかとした。軟骨細胞や脂肪細胞への分化過程における三次元微小培養環境の影響は未だ検討の余地が残るものの、構築したADSCスフェロイドは単層培養に比べて高い分化効率であることを示唆する結果が得られている。従って、マイクロパタン表面を用いてADSCをスフェロイドにすることで、高機能な中腔葉の細胞(骨芽、軟骨、脂肪)を生体外で効率よく作製するための基礎を作り上げたと言える。今後の展望として、異なる大きさをもつADSCスフェロイド間における誘導効率の比較が挙げられる。単層培養系の低酸素培養環境においてES細胞やMSCの分化効率が上昇したという報告があることから、100μmよりも大きなスフェロイドの検証をすすめることで新たな知見が得られるかもしれない。また、外胚葉や内胚葉などへの胚葉間を越えた分化を検討することにより、本系における分化誘導制御の作用機序に関する情報を集めたい。本系のような遺伝子工学的手法に依存しないADSCの分化制御法が実現すれば、ADSCは診断、治療、再生医療に利用できる有力な幹細胞ソースになることが期待できる.
2: おおむね順調に進展している
中胚葉の細胞(骨芽、軟骨、脂肪)を生体外で効率よく作製するための基礎を作り上げた。
異なる大きさをもつADSCスフェロイド間における誘導効率の比較を行う。100μmよりも大きなスフェロイド、非球状の三次元構造体の検証をすすめる。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件)
Colloids and Surfaces B : Biointerfaces
巻: 97 ページ: 97-100