研究実績の概要 |
対物レンズで集光した単一光束を用いる準弾性レーザー散乱法(QELS法)により、マイクロメートルサイズの空間制限された液体表面における界面張力波共鳴を計測し、微小空間での界面張力を得る方法について検討を進めた。前年度までに、円形や四角形などの二次元制限空間からの共鳴信号を得ることに成功し、その共鳴モードを帰属することができた。平成26年度は、解析をさらに進めよりスペクトルとビーム集光位置の関係を明らかにした。また、共鳴モードと外部強振の影響も調べた。 直径53ミクロンの円形開口をもつデバイスを作製し、そこに水表面(気液界面)を形成した。この界面にレーザー光を集光し、そのスポット位置を周縁部から中心に向けて変化させ、散乱スペクトルを取得した。各スペクトルには、(1,1)モード(84.8 kHz)から(1,4)モード(225 kHz)のピークが現れたが、位置によりその強弱が変化する様子が観察され、その強弱が空間モードの節と腹の位置から説明できた。周波数ごとに共鳴モードの空間分布に対応した信号が得られたことで、これまでの帰属が正しいことが裏付けられた。 次に直径48ミクロンの円形開口をもつデバイスに、500 kHzで振動するピエゾ素子を取り付け外部からの強制振動の影響を調べた。強制振動を印加しない条件では、(1,4)モード、 (1,6)モードといったn回対称モードが現れた。次に500 kHzの超音波をデバイス全体に印加したところ、n回対称モードが消え、 (3,0)モード、(4,0)モードが現れた。超音波が円形開口周縁を同位相で振動させるために、n回対称モードよりも、円形モードが存在しやすいことを示唆する結果を得た。 これらの結果から、界面張力波共鳴に関する基礎的な知見を積み上げることができ、新規な界面光分析法として、測定に適した条件を考察する基盤が整備された。
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