研究課題
平成26年度は、基質を取り込むための環境としてβ-シクロデキストリン(βCyD)を用いることにした。DNA末端にβCyDを化学修飾し(CyD–DNA)DNAテンプレートの特定の箇所にこれを配置する。対となるDNAとしてこれまでに合成してきたBrønstedの酸や塩基を修飾したDNAコンジュゲートを使用することができる。また、今回、2,2’-ジピコリルアミン(DPA)を修飾したDNA(dpa-DNA)を新たに合成し、これを亜鉛錯体としてCyD–DNAと併せて使用することにした。CyD–DNAコンジュゲートの合成法は申請者らのこれまでの研究により既に確立されており、期待通り調製することができた。dpa-DNAの合成の先行例はなかったが、DPAをペプチドに修飾した例を参考にして合成することができた。これらDNAコンジュゲートの合成、および以下で述べる色素系エステルの合成においては購入したフラッシュクロマト装置を使用した。両DNAコンジュゲート、および両者と相補的なタンデム配列を有する鋳型DNA存在下、色素系のエステルを基質として、DNAを反応場とした加水分解反応の促進を観察した。しかしながら、あらゆるすべてのDNAコンジュゲートの組合わせに関して、リン酸エステルの加水分解の促進を観察することはできなかった。そこで、より活性なカルボン酸エステル(p-ニトロフェノールのエステル)を基質として合成して使用した。その結果、dpa-DNAとCyD–DNAコンジュゲートの組合わせにおいて、加水分解反応の有意な加速を確認することができた。修飾分子(DPA、βCyD)とDNAを繋ぐリンカーの長さ、鋳型DNA中の活性部位近傍の塩基配列、pH、温度などを変化させることで最適な条件を探す必要がある。超分子化学、分析化学の観点から将来性のある興味深い結果である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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