研究課題/領域番号 |
24350041
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
中井 泉 東京理科大学, 理学部, 教授 (90155648)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 考古学 / 美術史 / 放射線・X線・粒子線 / 粉末回折分析 / 非破壊分析 |
研究概要 |
交付申請書に記した研究の目的は以下の2つである。 (1)これまでの回折計の開発経験と様々な試料への応用実績をもとに、美術考古学資料の分析に適した世界最高性能のポータブル粉末X線回折計を製作することを第一の目的とする。 (2)開発した装置を使用して、従来機では解決できなかった美術考古学上の第一級試料に関する問題を解決することを第二の目的とする。 そして、H24年度の計画として粉末回折計の基本設計を行い、試作することをめざした。 その結果、こちらが要求した以下の基本性能を満たす装置が完成し、11月29日に納品された。 i)ゴニオメータの基本設計は現行の開発2代目の装置であるPT-APXRDが、堅牢でありながら世界最軽量で、トラブルなく長期間安定して使えたことから、現行装置と同一の駆動方式を採用。ii)コリメーターには、高輝度平行光が得られ、試料面の凹凸の影響も防げるポリキャピラリーハーフレンズを採用。iii)X線検出器には、KETEK社の高分解能SDD検出器を導入する。これにより、粉末X線回折データの測定点から、蛍光X線スペクトルも測定できるので、結晶構造データと組成データが同時に得られる。iv)信号処理には、高速かつ軽量なデジタル・パルスプロセッサーを用い、電源、コントローラはできるだけ軽量となるように工夫し、航空機内への持ち込みが可能。 小型で、使いやすい機能的な装置が開発された。納品後、標準試料を用いて評価したところ、世界最高性能とするには、以下の点で改良が必要であることがわかった(1)X線管球が高圧下では放電する。(2)スリットシステムが平行光学系には最適のものではない(3)測定ソフトが開発不十分で実測定時間のさらなる短縮化が必要である。現在、装置メーカーのテクノエックス(株)で鋭意、改良がなされている。完成すれば、世界最高性能が実現し、速やかに実試料への応用が可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
粉末X線回折計の開発を行った(株)テクノエックスとしては、初のX線回折装置の開発であったことから、基本性能を満たす装置が完成したことは、まずまずの成果であると言える。ただ、最終目標の世界最高性能をめざして、さらなる改良が必要であり、現在鋭意進行中である。完成すれば、即応用に移す計画である。
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今後の研究の推進方策 |
最も重要な回折計の完成をめざして、装置の改良、評価を行いフィードバックして世界最高性能の装置の完成をめざす。なおルクソールの壁画調査は、本年10月を予定しているが、エジプトの政情によって変化する可能性がある。ただし、2011年度にすで分析調査を実施して重要成果が得られている。絵画の分析では、可視吸収スペクトル、蛍光スペクトルの測定が重要なため、新たにポータブルの分光計の開発を行うこととした。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は粉末X線回折計の試作が目標であったが、世界最高性能とするにはさらに改良が必要で、メーカーに引き続き改良を依頼し、装置を用いての分析調査は実施しなかった。その調査費を平成25年度に持ち越し平成25年度予算と合算して、絵画製作技術の解明に有用な新たな分光計の開発に充当することとした。
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