研究課題/領域番号 |
24350043
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高橋 保 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (30163273)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 炭素-炭素結合切断 / シクロペンタジエニル / チタナサイクル / ジヒドロインデン / metathesis / カルビン錯体 / アミド / シクロヘプタトリエン |
研究概要 |
炭素-炭素結合の形成および切断反応は、有機合成化学の中心的な課題の一つである。我々の研究室では、ビス(シクロペンタジエニル)チタナシクロペンタジエンにおいてCp環の炭素-炭素結合生成及び切断反応が進行することを見出した。まず、Cp配位子とチタナサイクルのジエン部位との間でカップリングが進行し、ジヒドロインデン誘導体が生成することを確認した。ここからCp環由来の5員環の炭素-炭素結合切断反応が進行し、別のジヒドロインデン中間体が生成する。これを13Cラベル実験で5つの炭素が切断されて鎖状に配置していることを確認した。さらに驚いたことには、この中間体にアゾベンゼンを反応させたところインデン誘導体が得られた。このとき、鎖状であった5つの炭素が環状に戻っていることを確認した。すなわち一度切断された炭素-炭素結合が再結合する反応を見出した。この反応はチタンカルベン中間体を経由してmetathesis反応機構が考えられる。そのカルベン中間体は反応機構を理解するための鍵となるものである。今研究では、そのカルベン中間体が存在しうることを証明する過程で、新たな反応を見出した。ビス(シクロペンタジエニル)チタナシクロペンタジエンから調製したジヒドロインデニルチタン錯体に、アミドを反応させると、対応するビニルシクロヘプタトリエン誘導体が生成した。この特異な炭素-炭素結合切断反応は、アミドはカルベン錯体捕捉剤として働くことが考えられる。カルベン中間体とアミドの反応より、ノルカラジエンチタン錯体が生成し、ノルカラジエン骨格がシクロヘプタトリエンへ異性化する機構によって進行していると推測される。この反応は、カルベン錯体が存在しうることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たなチタナセン錯体におけるシクロペンタジエニル配位子とジエン部位とのカップリング反応および炭素-炭素結合切断反応を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
新たな炭素-炭素結合の切断反応を見出したので、新規有機合成反応の開発を行うと同時に反応機構解明の進行を考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に生じた未使用額については、平成25年度に実施する計画のうち、実験消耗品(薬品、ガラス器具など)を購入する費用に充てる。
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