研究課題
炭素骨格中心である有機化合物は炭素原子が共有結合で結びついた骨格を持つ、有機合成化学には炭素骨格をどうやって構築するかが大きなターゲットとなっている。近年、環境に配慮するなどの観点から提唱されている高効率な化学プロセスの開発は大きな注目を集めている。本研究室では炭素骨格の高効率構築法の開発を目指し、炭素―炭素結合切断反応と炭素―炭素結合生成反応を組みあわせることについて研究を行なっている。本研究ではチタン上で特異な炭素―炭素結合生成及び切断反応を発見し、その反応機構を明らかにするとともに、新規炭素骨格の構築反応の有機合成への応用の開発を成功した。1.反応機構の検証における反応中間体の誘導化による構造の推測を試みた。ジヒドロインデニルチタン錯体とアミドと反応させ、対応するビニルシクロヘプタトリエン誘導体が良好得られた。この特異な炭素-炭素結合切断反応は、アミドはカルベン錯体捕捉剤として働くことが考えられる。これにより、カルベン中間体の存在している証拠を発見した。2.チタン錯体による炭素―炭素結合生成及び切断反応を反応条件により制御し、二種類の異なるジヒドロインデニルチタン誘導体の効率的な合成法の開発に成功した。3.チタン錯体による炭素―炭素結合生成及び切断反応を添加剤により制御し、二種類の異なるインデン誘導体の効率的な合成法の開発に成功した。チタナシクロペンタジエンに対し、反応剤としてアゾベンゼンを用いると、五つのCp炭素が環状のままジエン部分とカプリングし、四置換インデン誘導体が得られた。また、アゾベンゼンに加え添加剤としてトリメチルホスフィンを加えると、ジエン部位と置換基の間の炭素-炭素結合がひとつ切断され、三置換インデン誘導体が得られることを見出した。これを13Cラベル実験で5つの炭素が切断されて鎖状に配置していることを確認した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Angewandte Chemie, International Edition
巻: 53(34) ページ: 8899-8903