研究課題/領域番号 |
24350044
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小笠原 正道 北海道大学, 触媒化学研究センター, 准教授 (70301231)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アレン / 軸不斉 / パラジウム / 天然物 / 全合成 / ビススルホン / 不斉転写 |
研究概要 |
申請者が見出しているパラジウム触媒アレン合成反応に、環状ビススルホンであるBDTを求核剤として用いると、対応するアレンが高収率で得られた。こうして得られたアレンを常法によりアルキル化した後、金属マグネシウムを用いて還元的に脱スルホン化すると、アルキルアレンが得られる。この反応に、立体的に嵩高い軸不斉ビアリールポスフィンを用いると、95%を越える非常に高いエナンチオ選択性で軸不斉アレンが得られることを見出した。 このBDTを用いるアレン合成反応を利用することにより、ホマレン酸などのアレン骨格を有する種々の天然物を高いエナンチオ選択性で不斉全合成することに成功した。また、インゲンマメゾウムシの性フェロモンの合成も同様の手法により、従来法よりも高い光学純度で得られることを見出した。 3-Bromopenta-2,4-dienyl Acetateを基質として上記のパラジウム触媒反応に用いたところ、二重求核置換反応が進行し、C2対称の二重官能基化アレンが高い収率で選択的に得られることを見出した。この反応にSegphosを不斉配位子として用いると、90%を越える高いエナンチオ選択性で軸不斉C2対称アレンが得られた。 また、3-bromo-5-silylpenta-1,3-dienesを基質とするパラジウム触媒反応によって、種々の軸不斉(アレニルメチル)シラン類不斉合成できる。こうして得られたアレンは、適当な求電子剤と反応して不斉転写により中心不斉化合物を生じる。軸不斉アレンのエナンチオ選択性、不斉転写効率が、シリル基の嵩高さにより大きな影響を受けることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画で、官能基を自在に導入できるアレン合成法を確立し、種々の天然物アレンの全合成を達成している。1年間の研究成果としては、順調だと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、初年度に見出した「アルキルアレン類の不斉合成法」を基に、さらに複雑な天然物アレンの全合成に挑戦する。また、生理活性、薬理活性を有するアレン化合物の合成への応用も検討する。また、全く新規なアレン合成法の開発も検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
「平成24年度に生じた未使用額については、平成25年度に雇用予定の研究補助員の雇用経費に組み込み使用する。
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