研究課題
基盤研究(B)
本課題は、従来触媒で合成不可能な新規オレフィン系ポリマーの創製や環境調和型の革新的重合・合成プロセスの構築を可能とする高性能チタン錯体触媒の設計・創製に関する。特に期間内は、ハーフメタロセン型のチタン錯体や関連錯体に焦点を絞って、各種錯体の合成・同定と各種エチレン系共重合体の精密合成・特性解析を通じて課題を達成したいと考えている。また、申請者が提案・報告したTi-Al2核錯体に焦点を絞り、助触媒の要らない高性能触媒の設計指針を確立したいと考えている。平成24年度の成果は以下の通りである。各種イミダゾリン-2-イミナト及びイミダゾリジン-2-イミナト配位子を有する非架橋型のハーフチタノセン錯体触媒を合成・同定し、各種エチレン共重合における活性やモノマーの相対反応性への配位子効果を検討中である。特に前者の錯体触媒は、エチレンと環状オレフィンとの共重合に高性能を発揮した。フェノキシ配位ハーフチタノセン触媒は、ホウ素助触媒存在下、エチレンとスチレンとの共重合において、高温でも共重合体のみを優先的に与え、塩素配位子の一部をフッ素化アルコキシ配位子とすると(選択性を維持しつつ)活性が向上した。この触媒により、(従来技術で困難な)エチレンとスチレン、αオレフィンとの共重合体の効率合成も可能となった。この知見を基にp-メチルスチレンやジビニルジフェニルとの共重合を行うことで、反応性官能基を有するエチレン系共重合体の精密合成が達成可能となった。アニオン性の[tris(aryloxo)amine配位子]を有する各種フェノキシ配位Ti錯体触媒によるエチレン重合では、MAO助触媒存在下でのAlMe_3の添加効果とTi-Ak2核錯体の安定性によい相関がみられた。現在は関連のZrやHfとAlとの2核錯体を合成・同定し、触媒の機能解析を行っている。
2: おおむね順調に進展している
それぞれの課題(触媒合成、手法開発など)が比較的順調に推移しており、多くの学術的・実用的観点から有用な知見が得られている。一部の成果は学術雑誌の表紙に採択され、国際会議や国内で開催のセミナーの招待講演などで成果を紹介する機会も得ている。
申請時の計画通り、平成24年度の成果を基盤に、さらに課題を発展させる予定である。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (7件) 図書 (2件) 備考 (1件)
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