研究課題
本課題は、従来触媒で合成不可能な新規オレフィン系ポリマーの創製や環境調和型の革新的重合・合成プロセスの構築を可能とする高性能チタン錯体触媒の設計・創製に関する。特に期間内は、ハーフメタロセン型のチタン錯体や関連錯体に焦点を絞って、各種錯体の合成・同定とエチレン系共重合体の精密合成・特性解析を通じて課題を達成したいと考えている。また、申請者が提案・報告したTi-Al2核錯体に焦点を絞り、助触媒の要らない高性能触媒の設計指針を確立したいと考えている。平成25年度の成果は以下の通りである。フェノキシ配位ハーフチタノセン触媒を用いると、従来触媒では合成不可能なエチレンと置換シクロヘキセンとの共重合が進行し、均一組成で分子量の揃ったポリマーを与えた。特に従来触媒で成功例のない3置換オレフィンである1-メチルシクロヘキセンとの共重合も進行した。共重合性能や得られるポリマーのミクロ構造も使用するアニオン性配位子やシクロペンタジエニル配位子上の置換基の影響を強く受けた。また、反応性官能基を有するポリオレフィンの精密合成も継続で取り組み、本課題で提案の手法の有用性を拡張している(学会発表済、一部は論文投稿・受理)。各種単座アニオン性配位子の異なるキレートアニオン性配位[tris(aryloxo)amine配位]Ti錯体を合成・同定し、MAO助触媒存在下、同触媒によるエチレン重合における活性へのAlMe3の添加効果とTi-Al2核錯体の安定性に関する研究を昨年より継続した。安定性とAlの添加効果及び触媒活性によい相関があることを明らかにし、これは得られる2核錯体の安定性(有機アルミニウム種と解離して、不活性種を与える)と深く関連することを明らかにした。また、Zr-Al及びHf-Al2核錯体を合成し、触媒機能解析を検討した。
1: 当初の計画以上に進展している
それぞれの課題(触媒合成、手法開発など)が比較的順調に推移しており、多くの学術的・実用的観点から有用な知見が得られている。一部の成果は学術雑誌に採択され、国際会議や国内で開催のセミナーの招待講演などで成果を紹介する機会も得ている。
申請時の計画通り、平成25年度の成果を基盤に、さらに課題を発展させる予定である。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (16件) (うち招待講演 2件) 図書 (3件) 備考 (1件)
Macromol.Chem. Phys. accepted (invited in a special issue)
巻: 215 ページ: 1-6 (accepted)
Dalton Trans., ,
巻: 42 ページ: 11632-11639
10.1039/C3DT51172C
http://www.comp.tmu.ac.jp/tmuorg/