研究概要 |
本年度はモノマー適用範囲の拡大に伴う重合系の一般化に関し、開始剤の精密設計により使用可能なモノマー類の拡張を目指した。そこで、グループトランスファー重合(GTP)のモノマーとしてこれまで十分に検討されていないソルビン酸エチル(SE)、N,N-ジエチルソルビン酸アミド(SAm)、および1-メチル-3-メチレンピロリジン-2-オン(MMP)を用いた。開始剤として市販の1-メトキシ-トリメチルシロキシ-2-メチルプロペン(MTS-Me)以外に、1-メトキシ-トリエチルシロキシ-2-メチルプロペン(MTS-Et)、1-メトキシ-トリイソプロピルシロキシ-2-メチルプロペン(MTS-iPr)、(Z)-1-(ジメチルアミノ)-1-トリメチルシロキシプロプ-1-エン((Z)-DATP-Me)および(Z)-1-(ジメチルアミノ)-1-トリエチルシロキシプロプ-1-エン((Z)-DATP-Et)を新たに合成し、用いた。また、触媒としてN-(トリメチルシリル)ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドを用いた。 SEのGTPにMTS-Me、MTS-Et、MTS-iPrを用いて検討した。その結果、いずれの開始剤も重合には有効であったが、MTS-MeとMTS-Etの重合制御は不十分であった。しか、MTS-iPrを用いたGTPは完全に制御された。SAmは開始剤にMTS-Me、MTS-Et、MTS-iPrを用いた場合、重合時間を24時間としても重合は進行しなかった。(Z)-DATP-Meは重合には有効であったが、重合の制御が不十分であった。しかし、(Z)-DATP-Etを用いたGTPはリビング重合性を示した。また、MMPも同様にMTS-Me、MTS-Et、MTS-iPrでは重合が進行しなかったが、(Z)-DATP-Meおよび(Z)-DATP-Etは開始剤として有効であったが、重合制御が不十分であった。
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