研究課題/領域番号 |
24350053
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
森 秀晴 山形大学, 理工学研究科, 教授 (00262600)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高分子合成 / リビング重合 / ラジカル重合 |
研究概要 |
次世代S-ビニル型ポリマーの製造技術の基盤を確立するため、多様な機能が期待できる新規S-ビニルモノマー類のRAFT重合を検討した。特に代表的なS-ビニルモノマーであるフェニルS-ビニルスルフィド誘導体を用いた特殊構造高分子の創製とその応用に関する研究を展開した。主な成果を以下に示す。 フェニルS-ビニルスルフィド誘導体と共役モノマーあるいは非共役モノマーから構成されるブロック共重合体の精密合成技術を確立した。この際、トリチオカーボネート型、ジチオカルバメート型、ザンテート型連鎖移動剤の中で適切な構造のものを選択することで、スチレン型、(メタ)アクリレート型、アクリルアミド型、及び非共役N-ビニル型モノマー類とのブロック共重合体の精密合成が可能であることを見出した。また、それら硫黄含有ブロック共重合体の自己組織化挙動を明らかにした。 反応点として利用できるブロモベンゼン部位を側鎖に有するS-ビニルスルフィド誘導体のRAFT重合とカップリング反応を用いることで、ブロモ部位に種々の電子・光機能団を導入した機能性ポリマーの新規合成に成功した。特に、ホモポリマー、ブロック共重合体、ランダム共重合体の電子・光特性を評価し、一次構造及び高次構造に由来する特異な電子・光挙動を確認した。 電子供与性モノマーとしてフェニルS-ビニルスルフィド誘導体、電子受容性モノマーとして無水マレイン酸、N-置換マレイミドを用いた硫黄含有交互共重合体の合成に成功した。特に、S-ビニルスルフィドとN-フェニルマレイミドの共重合系をトリチオカーボネート型連鎖移動剤存在下で行った所、重合のリビング性が示唆された。さらに、精密に合成された交互共重合体の配列制御に基づく特異な機能・特性を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非共役S-ビニルモノマー類であるS-ビニルスルホン酸エステル類(-SO3-)及びS-ビニスルフィド誘導体(-S-)のラジカル重合の精密制御手法を確立すると共に、新規スルホン酸含有ブロック共重合体、有機-無機ネットワーク、新規硫黄含有ブロック共重合体、交互共重合体の開拓に成功した。さらに、それらの特異な一次・高次構造、配列制御に基づく機能化の技術も確立しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品などの物品費、学会参加等の旅費、英文校正等のその他の経費の使用が予定より少なかったため直接経費次年度使用額が生じた。 26年度は、この経費と合わせて物件費、旅費等を計画通り使用する予定である。
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