研究課題
本研究は、「分子の立体構造と分子間相互作用を協同的に利用した独自のデザイン戦略」に基づき、電子供与性(ドナー)および受容性(アクセプター)のコンポーネントをそれぞれ区画化して集積し、さらにそれらをナノスケールの精度で空間特異的に接合することにより「ナノヘテロ接合構造体」を構築することを目的としている。平成24年度、平成25年度を通じて、大面積二次元ヘテロ接合を実現するための分子ビルディングブロックとして新規三脚型トリプチセンを開発し、その特異な二次元集積化能を明らかにしてきた。最終年度である平成26年度では、三脚型トリプチセンへの電子・光電子機能の付与を目的とし、様々なサイズの多環式芳香環を三枚羽にもつπ拡張型トリプチセンを開発し、それらの集合化挙動ならびに物性の検討を行った。また新たに、より多彩な機能団の空間特異的集積化を可能にする新規三つ又型トリプチセンビルディングブロックを構築した。その展開として、優れた電子輸送特性を有するフラーレンを導入した三つ又型トリプチセンを用いることで、フラーレン部位が高密度かつ二次元的に集積化した有機薄膜を構築することに成功した。この薄膜の電気伝導性を時間分解マイクロ波伝導度測定により調査したところ、基板に平行方向の電子伝導度が垂直方向に比べて顕著に高いことを見出した。上記の研究に加えて、酸化還元活性な新規π電子系分子群に関する研究を展開した。代表的なものとして、インダセンテトラオンを基本骨格とした新規アクセプター分子を開発した。この分子の基板上での集合構造をX線回折測定により調査したところ、有機薄膜太陽電池に理想的なホメオトロピック配向が実現されることを見出した。またこの分子を用いて、実動可能な有機薄膜太陽電池の素子作製にも成功した。この成果は論文として発表した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Chemical Communications
巻: 51 ページ: 1206-1209
10.1039/C4CC08942A
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http://fuku.res.titech.ac.jp/