研究実績の概要 |
1)我々はこれまでに,カリックス[5]アレーンがフラーレンの有効なホスト分子であることを見出している。今回,この分子認識を駆動力に重合する超分子ポリマーや超分子ネットワークの合成に成功した。溶液中の拡散係数や溶液粘度は超分子ポリマーの生成を強く示唆していた。さらに,原子間力顕微鏡による観察から,一次元のポリマーが規則的に配列している興味深い構造が確認された。超分子ポリマーネットワークは乱れたハニカム状の構造を形成していることがわかった。以上,AB型の超分子フラーレン交互共重合体の合成に成功した。 2)二つのポルフィリンをピリジンカルボキシアミドで架橋したビスポルフィリンクレフトが溶液中でトリニトロフルオレノン(TNF)などの電子不足芳香族ゲスト分子と電荷移動相互作用により包接錯体を形成することを見いだしている。そこてで,我々は亜鉛ビスポルフィリンクレフトの特異な包接構造を利用した超分子ポリマーを構築した。さらに架橋結合を導入することで,自立膜を形成するほど安定な超分子共重合ポリマーの合成に成功した。 3)主鎖にゲスト分子を周期的に配置されたポリマーに,ゲスト部位を選択的に包接する自己集合カプセルを添加すると,ゲスト部位を選択的に認識した。分子カプセルに導入された長鎖アルキルをグラフト鎖として周期的にポリマー主鎖に導入することに成功した。また,グラフト共重合体は超分子らせん構造を形成することが確認された。
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