① 金属錯体触媒を連結点に導入した両親媒性ブロック共重合体の分子設計 初年度に合成したピリジルトリアゾール基を連結点に有するブロック共重合体を基に、レニウム錯体Re(CO)4(tpy)Brを形成させたポリマーを用いることによって、昨年度合成したビピリジンを連結点に導入した共重合体によるRe(CO)4(bpy)Brに比べ、薄膜中で生成する垂直配向シリンダー型ミクロ相分離構造の規則性が大幅に改善された。斜入射小角X線散乱(GI-SAXS)測定において、面外方向に観測される液晶のスメクチック層状構造に起因する周期的な散乱ピークの両側に、特徴的なピークが観測されたことから、シリンダーの周りにRe錯体が環状に配列した構造が、スメクチック層間距離に等しい間隔を保って配列した周期構造を形成していることが確認された。また薄膜の断面TEM像より、200 nmの膜厚を完全に貫通した垂直配向シリンダー型ナノ構造が形成されていることを確認した。
② 光捕集アンテナ-触媒薄膜の構成とナノ自立膜の作製 ①で得られたRe(CO)4(tpy)Brを有する共重合体を、昨年度までに合成したZnTPPおよびRu(bpy)2(tpy)を連結点に有する共重合体と混合製膜することによって、光捕集アンテナ-触媒薄膜の作製を試みた。ZnTPPを有する共重合体との混合薄膜は規則性の高い完全垂直シリンダー型のミクロ相分離構造を維持したが、Ru錯体を持つものではやや構造規則性が乱れる傾向が見られた。 酢酸セルロース薄膜上に、ZnTPPとRe(CO)4(tpy)Brを有する共重合体のブレンド膜を製膜し、紫外光照射により疎水性液晶鎖を架橋した後、酢酸セルロース層を溶解させることによって、自立膜化することにも成功した。
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