今後の研究の推進方策 |
今後は前年度までに得られたナノ粒子担持炭素材料の固体高分子形燃料電池用電極触媒やリチウムイオン二次電池用負極材料への応用に関する研究を行う。燃料電池用電極触媒に関する研究に使用する作用極は、作製したナノ粒子担持カーボンナノチューブ複合材料をグラッシーカーボン円板電極上に適量塗布し、その上からナフィオン溶液を滴下するなどの方法により準備する。ここで調査の対象とする合金ナノ粒子は、白金-遷移金属系および他の方法では合成が困難である白金-スズ系などである。得られた電極の触媒能については、酸素飽和過塩素酸水溶液中での電気化学測定により明らかとする。さらに、回転リングディスク電極装置を用いることにより、様々な電気化学パラメーターの算出が可能となるため、これについても調査する。これらの結果は次の電極触媒材料を合成する際のデータとして活用する。 リチウムイオン二次電池用負極に関する研究については、シリコンナノ粒子担持炭素材料をポリフッ化ビニリデン系バインダーにより、銅板上に固定するなどの工夫によって電極を作製することから実験を始める。得られた負極の評価については、イオン液体を溶媒に用いたセルを作製し、種々の電気化学測定法を駆使することで行う。また、その際の電極挙動の解明には、研究代表者らが開発しているin situ electrochemical SEM システムを積極的に活用する(Chem. Eur. J., 17(40), 11122 (2011); J. Phys. Chem. C, 116, 20902 (2012); Electrochemistry, 80, 308 (2012); Phys, Chem. Chem. Phys., 15, 18600 (2013).など)。これにより、得られた負極材料の劣化挙動を明らかとするとともに、その改善策を検討する際の参考とする。
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