昨年度までに室温イオン液体-加速器電子線照射(RTIL-AEBI)法による様々なナノ粒子の合成やそれらの炭素担体への担持に成功している。平成26年度はそれらのエネルギーデバイス材料への応用について検討した。Siナノ粒子については、リチウムイオン電池用負極の作製に利用することを試みたが、電極活物質として評価するには生成量が少なく、その評価は困難であった。そこで、Siナノ粒子の大量合成に適したイオン液体系の探索を行ったところ、ケイ素をイオン骨格構造に含んだ室温イオン液体から単分散Siナノ粒子が調製できることを見い出した。その理論収量は室温イオン液体1 mLあたり85 mg以上であり、従来の系の0.14 mgを大きく上回る値であった。これにより、リチウムイオン電池用負極への展開が可能となった。また、昨年、良好な酸素還元触媒特性を示すことを見い出したPtNi合金ナノ粒子担持単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の材料合成プロセスの最適化とPtやNi前駆体の種類がその酸素還元触媒能に及ぼす影響についても調査した。粒子の分散性はPt前駆体の価数によって大きく異なり、二価の白金前駆体を用いた場合にはPtNi合金粒子が分散した状態で得られ、四価では粒子が凝集する傾向を示した。この傾向は炭素担体への担持後にも維持され、二価の白金前駆体を用いて作製したPtNi合金ナノ粒子-SWCNT触媒は四価のものより優れた酸素還元電極触媒能を有することがわかった。さらに、PtCo合金ナノ粒子の調製についても検討し、二価の白金前駆体とCo塩を3:1で混合した場合は9:1、1:1で混合した場合は3:2の組成比のPtCo合金ナノ粒子が得られ、SWCNTへの担持ならびに酸素還元電極触媒としての利用が可能であった。
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