研究課題/領域番号 |
24350087
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
早川 芳宏 愛知工業大学, 工学部, 教授 (50022702)
|
研究分担者 |
西村 聡子 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (90609322)
太田 美智男 椙山女学園大学, 看護学部, 教授 (20111841)
兵藤 守 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 特任助教 (30548186)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 核酸 / 免疫 / 癌 / Riboswitch / ワクチン / 環状ジヌクレオチド / c-di-GMP / 生理活性 |
研究概要 |
本年度は主に以下の(1)~(3)の成果を得た(いずれも論文発表済み)。 (1)環状ビス(3'-5')ジグアニル酸(c-di-GMP)を認識して転写制御などの重要な機能を示すc-di-GMP Riboswitch IおよびIIが、c-di-GMPの人工修飾体(非天然型c-di-GMP)を認識して機能を発現するかどうかを、研究代表者らが化学合成した種々の非天然型c-di-GMPを用いて調べた。その結果、c-di-GMP Riboswitch Iは、c-di-GMPは認識し、非常に強い結合体を形成するが、非天然型c-di-GMPはあまり認識せず、結合しないこと、一方、c-di-GMP Riboswitch IIはc-di-GMPだけでなく、様々な非天然型c-di-GMPをも認識、結合し、機能を発揮する事を見出した。換言すると、c-di-GMP Riboswitch Iは基質特異性が高いが、c-di-GMP Riboswitch IIは基質特異性が低い事を明らかにした。 (2)生体は、リステリア菌が感染すると免疫応答を引き起こし、この菌を排除するよう働くが、この生体反応のメカニズムを知る事は重要な課題である。今回、本メカニズム解明の一助と成る事柄として、リステリア菌が哺乳細胞に感染すると細胞外に放出されるDNAおよびRNAが、細胞内においてRIG-I,MDA5,STING等に認識され、インターフェロン産生を誘起し、このことが免疫応答誘起に重要であること見出した。 (3)未解決で、重要な課題である"バクテリアが光を感知するメカニズム"について、研究代表者らは以前、バクテリアに光を照射すると、PapAタンパク質とPapBタンパク質が相互に作用し、セカンドメッセンジャーであるc-di-GMPを分解することを見出し、この事が上記メカニズムに何らかの関係がある事を示唆した。今回本メカニズム解明の更なる研究として、PixD-PapB融合タンパク質を創製し、その機能を調べた。その結果PapBのC末端側のタンパク質が光を感受し、PapAの活性を制御していることを発見した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終目的であるc-di-GMPをリード化合物とする新規免疫賦活剤の創製に向け、その礎と成る(1)c-di-GMP類の未知生理活性の発見、(2)c-di-GMP類の免疫機能発現機構の解明に関し、「研究実績の概要」に記述したような成果(いずれも発表済み)を得た。くわえて、未発表の成果として、c-di-GMPが歯周病菌の増殖を抑える事、免疫活性化によりガン細胞の増殖を抑える事なども見出している(いずれも今年度各種学会で発表予定)。また、(2)の目的達成に必須なc-di-GMP/STING複合体単離に必要なc-di-GMP人工修飾体の合成も、ほぼ完成するに至っている
|
今後の研究の推進方策 |
研究は、これまでほぼ計画通り進んでいるので、今後も計画・進路を変更する事なく推進する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本研究は有機合成および生理活性探索実験が主になるので、これまで通り、研究費の大半は実験に必要な薬品、器具などの購入に充てる。また、本研究は米国を始め海外研究者の協力を得て行っている部分もあるので、研究打合せのための国外出張旅費にも相当額を使用する。
|