研究課題
2本の棒状構造体が一箇所の支点で連結されたペンチ型のナノメカニカルDNAオリガミデバイスを活用した、研究代表者の全く独自の単分子検出法に関して、その諸性質を改良するとともに、新たな機能も開発することで、より実用的な系へとさせた。まず、酸性条件で形成される特殊なDNA四重鎖構造を活用することで、これまで金属イオンからタンパクまでをカバーしていた検出対象を、理論的には質量数が最も小さい水素イオン(プロトン)まで広げることに成功した。さらに、DNAオリガミデバイスの形態の判別性を改善するため、より剛直な棒状構造からなる新しい分子設計を行った。この新しい構造体は、「ターゲット分子を一分子だけ摘まんで閉じる」という従来の検出手法では逆に検出効率が落ちてしまうことが明らかとなったが、一方で、「あらかじめ閉じておいた構造体をターゲット分子との相互作用で開く」というもう一つの検出手法の重要性を高め、「一般的な研究室にも広く普及しているアクリルアミドゲル電気泳動によるDNAオリガミデバイスの構造変化」という、新たな分析手段の確立にもつながった。DNAオリガミデバイスの機能の高度化についても、2種類のターゲットとの相互作用により、二段階で構造変化するアロステリック酵素を模倣した新しい動作機構を考案し、その機能を実証した。さらに、ペンチ型DNAオリガミデバイスがとりうる三つの形態間の構造変化もより自在に行えるようになった。従来は、異なる2形態間を行き来することしか出来なかったのに対し、棒状構造体間をつなぐDNAの配列を精密に設計することで、これまでに不可能だった形態間を行き来することも可能となった。これにより、三形態を次々に形成しているサーキット状の構造変化も実現し、DNAオリガミデバイスの分子計算素子への展開の可能性も開いた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
第2回野口遵賞(公益財団法人野口研究所)「DNAを用いたインテリジェント分子デバイスの開発」
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